質問
ラズパイ4(Buster)でC++のコードをg++ -march=armv7-a+fp
でビルドすると、filesystemを使った後でメモリ違反し落ちるようになりました。この原因と解決法を知りたいです。
今まではデフォルトで-march=armv6+fp
が指定されていたようです。
背景
ラズパイ用のソフトをC++で開発しています。
規模が大きくなったのでクロスコンパイルや分散ビルドを使えるように環境を作りました。
それぞれでビルドした成果物は実機上で動く状態です。
現状コンパイルオプションでそれぞれ違うアーキテクチャを指定しないと動作しない状態で、それを統一したいと考えています。
-march= | 通常・分散ビルド | クロスコンパイル |
---|---|---|
armv6+fp |
動作する | コンパイルできない |
armv7+fp |
ビルドできるが実行すると落ちる | 動作する |
統一したい理由は
・正式なバイナリは分散ビルドを、ローカルの作業でクロスコンパイルを使用したい
・複数あるライブラリや実行ファイルの一部分をクロスコンパイルしても動くようにしたい
クロスコンパイルに統一してしまえばいいのですが、細かい動作確認ができておらず不安です
環境
本体:ラズパイ4
OS: raspios buster armhf
GCC: gcc (Raspbian 8.3.0-6+rpi1) 8.3.0
仮想マシン
OS : rpd x86 buster
GCC: arm-linux-gnueabihf-gcc (Debian 8.3.0-2) 8.3.0
・Windows(x64)マシン上にVirtualBoxでraspios buster(x86-64)の仮想マシンを作成
・aptでcrossbuild_essential-armhf(12.6)をインストール(gcc8.3)
・distccで分散ビルド、又はクロスコンパイル
調べたこと
落ちる箇所を調べたところ、filesystemを使用した後にメモリ違反で落ちています。
filesystemはlibstdc++fs.a
を静的リンクしており、実機とクロスで違うファイルが取り込まれています。
試しにクロスコンパイルで使用される仮想マシン上のlibstdc++fs.a
を実機上にコピーしてビルドすると、落ちないようになりました。
よって恐らく実機上のlibstdc++fs.a
はarmv6専用になっており、クロスコンパイルではarmv7専用になっているのではないかと考えています。しかし動的リンクした他のlibc等は動いており、このファイルだけというのもおかしい気がします。
armv7
専用命令をarmv6
CPU で動かしたらIllegal Instruction
になる、つまりメモリ違反にはならないわけで注目点が違いそうっス。本当にarmv7
機能を使っているかどうかはlibstdc++fs.a
を逆アセンブルでもしてみるとよいかも。arm8
で、OSはarmv7l
のようです。(iodata.jp/product/pc/raspberrypi/ud-rp4b/spec.htm,arch
コマンドの出力がarmv7l
) armv7指定でクロスコンパイルしたものは正常に動作するので、cpuやOSの問題ではないはずです。 逆アセンブルについて調べてみます。-march=armv8-a -mfloat-abi=hard -mfpu=neon-fp-armv8
とかでは?-mfpu=neon
で指定していました。+fp
は余計だったかもしれません。 今までは指定していたのは-mfpu=neon
のみで、g++ -v
で確認するとarmv6+fp
と-mfloat-abi=hard
が設定されていた状態です。 8ではなく7を指定しているのは参考にしたサイトそのままにしたからです。-march=native
にするとarmv8-a+crc+simd
になるのですが、これを指定しても7を指定した時と同じ結果になっています。