型ヒント(Type hint)と型アノテーション(Type annotation)の違い
これは、「annotation」という語が多義的であり、文脈が無いと判断できません。現実的にはよく考えずに使用されていることも多いと思いますし、誰も定義していない語だと思います。
包含関係とする用法
「type annotation」は「type hint」(を付与する方法)の一種であり、annotation 構文を用いたものだとする用法があります。これは包含関係であり、質問者さんと同じく
型アノテーションより型ヒントの方が広い
という解釈です。
現在、Python の文法に「annotation」が導入されて久しく、「type annotation」という語の「annotation」はその構文を連想させることから、この用法があると思われます。
例:
So, Type Annotations or Type Comments?
—— Python Type Checking
It is not allowed for an argument or return value to have both a type annotation and a type comment.
—— PEP 484 – Type Hints
Type hints is a broader category than type annotations.
—— 質問『Disambiguating Python terms, what is the difference between "type hint" vs "type annotations"?』への回答
同等とする用法
上では「type annotation」の「annotation」が構文としての annotation を連想させると述べましたが、もちろんより広い意味での「annotation(注釈)」を意図して書かれることも有るでしょう。この場合、「type hint」と同じ意味で使われて、「type comment(型コメント)」も含むことになります。
kunifさんの回答ではこの用法が示されています。しかし、私はこれが唯一の正解では無く、あくまで用法の一つと考えます。
PEP における用法は定まらず、上で例に出したように、包含関係を前提としないと意味が通らない用例もあれば、どちらの解釈でも成り立つ記述もあります。全体的に PEP では「type hint」と「type annotation」の違いは熟慮されておらず、文脈に応じて理解する語として使われていると感じます(上で例として出した質問にPEP で定義されているというコメントも有るのですが、私にはそうは読めませんでした)。
将来
将来の可能性として、以下2点があります
- Type comment の廃止が宣言され、type hint を付ける方法は annotation 構文のみになる
- Annotation 構文の利用法は type hint に限ると宣言される
これら(特に前者)が行なわれると、上で述べた二つの用法の違いに意味は無くなります。
「型ヒントが付いていない」という表現
たとえば、「以下のpower関数の戻りに型ヒントが付いていない」という表現は正しいでしょうか?
これは、上で述べたいずれの用法であっても正しいです。(ただし、示されているコード以外にスタブファイルが存在する可能性が有り、そこに型ヒントが付いているかも知れません)