今のところ、直接的なイディオムなどは無さそうです。
多くの場合、普通の(非同期ではない)繰り返しで十分
例えば for await
ではない普通の for
でも、質問のコードと概ね同じことが行なえます。
for (const p of promiseArray) {
p.then(async (val) => {
console.log(`val = "${val}"`)
// val を使った処理いろいろ
})
}
全体を await
したい場合などは map
の方がよいかも知れません。
await Promise.all(
promiseArray.map(async (p) => {
const val = await p
console.log(`val = "${val}"`)
// val を使った処理いろいろ
}),
)
これらの繰り返しそれ自体は同期的であり、Promiseの配列をただ配列の順番のまま扱います。しかし、繰り返し中に登録されたコールバック関数は、準備が出来たPromiseから呼ばれていくので、概ね質問の目的通りです。
これらで十分か、これらの方がよい状況が多いので、非同期ジェネレータ化するイディオムが生まれないのだと推測します。
上記の繰り返しコードと、質問のコード(for await
+ 非同期ジェネレータ)の違い
上記の繰り返しによるコードは「質問のコードと概ね同じ」と書きましたし、形も似ていると思います。しかし、違う点もあります。それは、「// val を使った処理いろいろ
」の部分で非同期処理を await
した場合です。
- 上記の繰り返しコードでは、各コールバックが非同期的に実行される:
await
が書かれるのは、各コールバック関数の中になります。そこでコールバック関数の実行はプロックされますが、各コールバック関数は独立して呼び出されていますので、あるコールバック関数が await
している間に、他のコールバック関数が動くなど、非同期的に処理が進みます。
- 質問のコードでは、各ループが逐次的に進む:
await
が書かれるのは、for await
ループの中になります。そこでループはブロックされ、await
された非同期処理が解決するまで、次の要素の処理に進みません。
どちらが好ましいかは状況次第と思いますが、一見では逆と勘違いするかも知れないので注意が必要です。
質問のコード(for await
+ 非同期ジェネレータ)を実現するには
イディオムが見付からず、しかし一から書きたくない場合は、何らかの基盤が必要です。基盤としては、非同期で値の出し入れが出来るキューがよいと思います。
例えば、値の追加(enqueue
) と 引き出し(dequeue
)ができる AsyncSimpleQueue
があったとすると、下のように書けます。
async function* promiseArrayToGenerator<T>(promiseArray: Promise<T>[]) {
const queue = new AsyncSimpleQueue<T>()
for (const p of promiseArray) {
p.then((val: T) => {
queue.enqueue(val)
})
}
for (let i = 0; i < promiseArray.length; i++) {
yield await queue.dequeue()
}
}
非同期キューの書き方
非同期のキューは使い道が多いので、ライブラリなどが有るはずです。しかし、検索すると非同期タスクを管理するタスクキューばかりが出て来てしまいます。ですので、最小限の実装を出しておきます。
class AsyncSimpleQueue<T> {
#valQueue: T[] = []
#resolverQueue: ((val: T) => void)[] = []
enqueue(val: T): void {
const resolver = this.#resolverQueue.shift()
if (resolver) {
resolver(val)
} else {
this.#valQueue.push(val)
}
}
dequeue(): Promise<T> {
if (this.#valQueue.length > 0) {
return Promise.resolve(this.#valQueue.shift()!)
}
return new Promise<T>((resolve) => {
this.#resolverQueue.push(resolve)
})
}
}
上のコードは、書籍『JavaScript 第7版』の「13.4.4 非同期イテレータの実装」を参考にしたものです。そこで紹介されている AsyncQueue
は、それ自体が非同期イテレータでもあり、キューを閉じる機能もあります。本の筆者は、Rauschmayer博士のブログを参考にしたそうです。