static
フィールドでView
のインスタンスを保持してよいかどうかは、そのView
を構築するときに使用したContext
の種類に依存します。
View
およびそのサブクラスのコンストラクタはContext
型の引数を持っていますが、例えばActivity
用のレイアウトXMLを使ってView
のツリー階層を定義した場合、View
のコンストラクタ引数にはそのActivity
のインスタンスが渡されます。
(Activity
もContext
のサブクラスのひとつです)
このContext
インスタンスは、View
のフィールドmContext
に 強参照 として保持されます。
しかし、AndroidのActivity
は、画面遷移や構成変更などに伴って破棄・再生成される可能性があり、アプリケーションのプロセスの寿命よりもライフサイクルは短くなります。そのため、もしActivity
のインスタンスをView
の構築時にContext
として使う場合、そのView
のライフサイクルはActivity
と同じにする必要があり、static
フィールドに保持することはできません。
もしActivity
が破棄された後(Activity.onDestroy()
が呼ばれた後)もView
を保持し続けてしまうと、単にそのActivity
がメモリリークするだけではなく、未定義の 異常動作 を引き起こす原因になります。
一般的に、Activity
とView
のライフサイクルを一致させたほうが設計が簡単かつ堅牢になりますが、どうしてもView
インスタンスをstatic
フィールドに保持したい理由がある場合、Application
をContext
として使ってView
を構築する手があります。Application
のライフサイクルはアプリケーションのプロセスとほぼ同じであり、またAndroidにはアプリケーション終了の概念がないので、Application
を使って生成したView
であればActivity
のライフサイクルとは無関係に保持し続けることができます。Context.getApplicationContext()
メソッドを使うことで、Activity
など任意のContext
からApplication
のインスタンスを取得することができるので、これを使ってView
を構築します。
ただし、Application
を使ってView
を構築すると、外観スタイル(テーマ)が適用されない、DialogFragment
を利用できない、などのデメリットもあります。そういった問題を避けるために、View
の構築時はActivity
をbase contextとして設定したMutableContextWrapper
を使っておき、Activity
の破棄onDestroy()
と再生成onCreate()
のタイミングでMutableContextWrapper.setBaseContext()
を使って差し替える方法もあります。