子プロセス(この場合は python プロセス)側から親プロセス(この場合はシェルプロセス)のカレントディレクトリを直接的に変更することはできないことになっています(環境によってはできなくもないのですが)。
そこで、「ディレクトリを移動した状態を保つ」のではなく、「結果的にディレクトリを移動した状態にする」方法を以下に示します。
chdir.py
#!/usr/bin/python
import os
import sys
# :
os.chdir('foobar')
print(os.getcwd())
sys.exit(0)
※ エラーチェックは省いています
シェル側
$ pwd
/home/nemo
$ mkdir foobar
$ cd "`./chdir.py`"
$ pwd
$ /home/nemo/foobar
Python スクリプトに移動先ディレクトリのパス名を表示させて、それを親プロセス(シェルプロセス)で cd の引数としています。したがって、Python スクリプトで標準出力や標準エラー出力に他の文字列を出力してしまうと、ディレクトリの移動に失敗することになります。
追記
親プロセスのカレントディレクトリを変更する方法について、Linux 系 OSで gdb がインストールされていれば可能かもしれません。
まず、gdb を使うための準備をします。
$ sudo sh -c 'echo 0 > /proc/sys/kernel/yama/ptrace_scope'
これで親プロセスに attach することができる様になります。
chdir.py
os.chdir('foobar')
cmd = "gdb -p %d -ex 'call chdir(\"%s\")' -ex detach -ex quit >/dev/null 2>&1" % \
(os.getppid(), os.getcwd())
os.system(cmd)
親プロセスに attach して chdir
(system call) を実行します。成功すれば親プロセス(ここではシェルプロセス)のカレントディレクトリが ./foobar
ディレクトリに変更されているはずです。
$ pwd
/home/nemo
$ touch ./foobar/here_is_foobar_dir
$ ./chdir.py
$ pwd ## shell function
/home/nemo
$ /bin/pwd
/home/nemo/foobar
$ realpath .
/home/nemo/foobar
$ ls
here_is_foobar_dir
foobar ディレクトリに移動していますが、pwd(bash の shell function)の結果は元のディレクトリのままです。
以上は本家でも取り上げられていて、
Don't do this.
:
It will probably work, though note that Bash's pwd command is cached and won't notice.
と書かれています。
追記その2
bash 4.3.30 の場合ですが、cd_builtin
(bash の cd function の実体)を実行すると pwd の問題を回避できます。
cmd = ("gdb -p %d -ex " + \
"'call cd_builtin(make_word_list(make_word(\"--\")," + \
"make_word_list(make_word(\"%s\"), 0)))' " + \
"-ex detach -ex quit >/dev/null 2>&1") % (os.getppid(), os.getcwd())
$ ./chdir.py
$ pwd
/home/nemo/foobar
$ ls
here_is_foobar_dir
バージョンの異なる bash で動作するかは不明です。