ふへへ…… 10 時間連続で CPython のコード読み続けて概ね予想は付きましたぜ……。
まず、repl で一行ごとに実行される関数がこちらになります。
cpython/pythonrun.c at 32bd68c839adb7b42af12366ab0892303115d1d1 · python/cpython
重要なのはこの部分です!
...
arena = PyArena_New();
if (arena == NULL) {
Py_XDECREF(v);
Py_XDECREF(w);
Py_XDECREF(oenc);
return -1;
}
mod = PyParser_ASTFromFileObject(fp, filename, enc, Py_single_input,
ps1, ps2, flags, &errcode, arena);
Py_XDECREF(v);
Py_XDECREF(w);
Py_XDECREF(oenc);
if (mod == NULL) {
PyArena_Free(arena);
if (errcode == E_EOF) {
PyErr_Clear();
return E_EOF;
}
return -1;
}
m = PyImport_AddModuleObject(mod_name);
if (m == NULL) {
PyArena_Free(arena);
return -1;
}
d = PyModule_GetDict(m);
v = run_mod(mod, filename, d, d, flags, arena);
PyArena_Free(arena);
...
PyParser_ASTFromFileObject
はファイルハンドラと様々な実行文脈(モジュール名とか。repl なら __main__
)を渡してモジュールオブジェクトとして返す関数です。repl で打ったコードもモジュールとして変換されるのです。そしてそれを run_mod
に実行文脈とともに渡して実際に実行させます。値が返ってくればそれを repl に表示します(>>> 1 + 2
ってやると 3
って表示されるアレです)。
ここで arena
というものを渡していると思うんですがこれが肝です。これはコンパイル・実行ともに Python コードが使用するメモリを管理する大事な構造体です。ここにメモリが確保され、その中にコンパイルされたオブジェクトが配置され、実行結果が溜められていく、そんなイメージです。コマンドラインから実行された Python コードはこの arena
を再帰的に受け継ぎながら実行していくのでメモリ空間を共有します。それに加え Python には「型付きオブジェクトはキャッシュされる」という仕組みがあります。例えば整数や文字列、そしてタプルなんかがそうです。これらによりオブジェクト(変数)の ID (というかポインタの値)が一致するわけです。
さてソースコードをもう一度よく見てもらうと、始まりに arena = PyArena_New();
、終わりに PyArena_Free(arena);
ってやってますね?これは arena
のメモリを repl ではいちいち開放し直していることになります。つまりメモリ空間が毎回違うのです!一行一行メモリの割当が違うのでポインタの値が違うので ID も違うというわけなんですね。ちなみに「毎回メモリ解放しとったら前の変数参照できひんやんけ」と思うかもしれませんが、そのへんは弱参照という仕組みでうまくやってるぽいです。知らんけど。これ以上は書籍「ガベージコレクション」とかを読まないとわかんないやーつです。わたしも積んでます。
ちなみにいつ挙動が変わったかですがごめんなさい!そこまでは追いきれませんでした。ただ多分 is
の正しい使い方を知っていたらこう答えるでしょう。「誰が気にすんの?」と。もし気になったら GitHub で考古学に勤しむのも良いかもしれません。