OVRCameraRig を使用しているということは、Meta Quest での開発ですよね?
さらに OVRCameraRig を使用しているということは、Meta XR SDK
を使用していますよね?
Meta XR SDK
では、ハンド / コントローラーのインタラクションがサポートされているので、こちらの機能を利用して開発することが良いかと思います。
Meta XR SDK では、ハンドの指で物体をつつく操作を Poke
と表現しています。
以下、Meta XR SDK
を使用して、Poke
操作でボタンに触れて、イベントを受信、処理を実行する手順を説明します。
念のためですが、Meta XR SDK セットアップの手順は以下にあります。
どれを選択して良いか不明な場合は、Meta XR All-in-One SDK
をインストールください。すべての Meta XR SDK を一括でインストールできます。
コントローラー / ハンドへの PokeInteractor の追加
以下の「ハンドPokeインタラクターの追加」もしくは、「コントローラーPokeインタラクターの追加」を参照し、PokeInteractor を追加します。
もしくは、コントローラー ハンドを使用している場合は、以下の「コントローラーハンドのインタラクション設定」を参照ください。
対象オブジェクトへの PokeInteractable の追加
先のサイトの「PokeインタラクタブルをGameObjectに追加する」の手順を実行しても良いですが、Meta XR SDK の BuldingBlock
を使用すると、これらの手順を省くことができます。
Unity のメニュー [Oculus] - [Tools] - [Building Blocks] - [Poke Interaction] - [Add Block to current scene] を選択すると、ヒエラルキーに [[BuildingBlock] Poke Interaction] が追加されます。
スタートボタン、ストップボタン用に 2 つ Poke Interaction を追加し、適当な座標に配置してください。
ここで、一度、プログラムを実行し、ハンドで配置したオブジェクトに触れて、色が変わることを確認してください。
Poke で選択状態が検知されたら緑色になります。
色に変更がなければ、PokeInteractor の設定が正しく行われていないと思われますので、先の手順に戻って正しく設定を完了してください。
タイマー表示ロジックの実装
ヒエラルキーに、TimerView という空のオブジェクトを追加します。
経過時間表示用に TextMesh をこのオブジェクト以下に追加します。
さらに、以下のスクリプトをアタッチします。
using TMPro;
using UnityEngine;
public class TimerViewManager : MonoBehaviour
{
public TextMeshPro TextMesh;
private System.Diagnostics.Stopwatch _stopwatch = new System.Diagnostics.Stopwatch();
private void Start()
{
this.TextMesh.text = "00:00:00";
}
private void Update()
{
if (_stopwatch.IsRunning)
{
this.TextMesh.text = _stopwatch.Elapsed.ToString(@"hh\:mm\:ss\.fff");
}
}
public void StartTimer()
{
_stopwatch.Start();
}
public void StopTimer()
{
_stopwatch.Stop();
}
}
インスペクターから、このスクリプトのプロパティ TextMesh へ経過時間表示用に作成した TextMesh を設定してください。
ボタン選択イベントの受信
どこに設定しても良いのですが、今回は、TimerView オブジェクトへイベントの受信を設定します。
インスペクターから、TimerView オブジェクトへ InteractableUnityEventWrapper を「二つ」アタッチします。
次に、一方の[InteractableUnityEventWrapper] スクリプトの [InteractableView] プロパティへヒエラルキーから一方の [[BuildingBlock] Poke Interaction] をドラッグし設定。
もう一方の[InteractableUnityEventWrapper] スクリプトの [InteractableView] プロパティへヒエラルキーからもう一方の [[BuildingBlock] Poke Interaction] をドラッグし設定。
これで、Poke 時のイベントが受信できるようになりました。
イベント受信時の処理の起動
最後に、Poke された際の Select イベント発火時に、TimerViewManager.StartTimer、TimerViewManager.StopTimer を実行するようにします。
インスペクターから、一方の [InteractableUnityEventWrapper] - [When Select()] - [+] を選択。
[None (Object)] と表示されている個所へ、ヒエラルキーから、TimerView をドラッグして設定。
[No Function] と表示されている個所から、TimerViewManager.StartTimer() を選択します。
もう一方の [InteractableUnityEventWrapper] でも同様の手順を実施し、TimerViewManager.StopTimer() 選択します。
プログラムの実行
プログラムを実行して動作を確認します。
以下は、実行時のキャプチャーです。
ここにアップロードできるファイル制限のため動画のフレームを少なくしているので、かなりコマ落ちしていますが、Poke によるイベントの発火、処理の実行が正しく動作していることが分かります。
また、ちょっとわかりにくいかもしれませんが、ボタンを押したときにボタンがへこむ表現もできています。これは、PokeInteractable で提供されているもので、BuildingBlock
の Poke Interaction
でも PokeInteractable が利用されているためこのような表現ができます。
Poke については、以下に詳しく説明されています。
独自に機能を作りこんでいくことも良いかとは思いますが、デバイスで提供されている SDK を利用した方が、デバイスを使ってやりたいこと、後になって必要となる機能、デバイス特有の機能がライブラリとしてあらかじめ用意されており、高度な機能を短時間で実装できると考えています。
確かに習熟コストはかかると思いますが、Meta Quest 開発者は多く、Web 上でも多くの情報があります。今回の私の回答においても開発者の方々が公開されている情報に助けられました。
SDK でどのようなことができるかは、以下 Meta XR Interaction SDK OVR Samples
を確認すると良いと思います。