BINDのゾーンファイル(Zone File)のフォーマットはRFC 1034(日本語訳)を拡張したものです。ゾーンファイルは複数のリソースレコード(Resource Recorde、RR)というもので、次のような形式です。
所有者(owner) TTL クラス(class) タイプ(type) データ(RDATA)
※TTLは省略可能です。省略した場合は、ゾーンファイルの$TTL
で指定した値になります。
所有者とは実際にDNSとして検索されたときに探される名前のことです。DNSで名前を検索する場合、コマンドなどではホスト名だけであっても、実際に検索される名前はFQDNです。つまり所有者もFQDNで書かれることが本来のRRとして正しいのですが、あまりにも冗長であるため、ある程あ度省略した書き方ができるようになっています。記述された文字列によって、次の四つのパターンにわかれます。
- 無し(行が区切り文字であるスペースまたはタブで始まる場合)
前のRRと同じ所有者になります。
※所有者の所が省略されたかのように見えます。
@
(アットマーク)
起点が実際の所有者になります。
.
で終わる文字列
絶対名(absolute name)と言われます。
書いてある文字列がそのまま実際の所有者になります。
.
で終わらない文字列
相対名(relative name)と言われます。
書いている文字列の後に.
と起点を付けた文字列が実際の所有者になります。
起点(origin)とはゾーンファイルをマスターとして指定するときのドメイン名です。ゾーンファイル内でも$ORIGIN
で指定することができます。
なお、実際の所有者として名前やドメイン名等は一つ以上のラベルを.
で区切った文字列である必要があります。絶対名や相対名も同じです。ラベルに使える文字は英数字、-
、_
になります。(_
が含まれるラベルは、SRVレコードなどの特殊用途につかわれるもので、通常のホスト名やドメイン名などには使用できません。)
以上を踏まえて、質問のレコードにどうなるかを説明します。
起点(origin)がexample.co.jp
であるとして、所有者はtest1.test2
になっています。これは.
で終わっていない文字列なので、相対名となり、実際の所有者はtest1.test2.example.co.jp
となり、これがDNSとして検索できる名前になります。このように相対名に.
が含まれていても問題ありません。ただ、..
のように二連続になったり、.
から始まっている場合は、実際の所有者がFQDNとして正しくなくなるため、不正なレコードとみなされます。