元々はJavaScriptソースコードを短縮するためのハックです。Math.floor(pos/w)
よりもpos/w|0
の方が短いわけです。Webは表示毎にWebサーバーからブラウザーへHTML / JS / CSSを送信する必要があるため、ソースコードを短くすることで読み込み速度を改善する意義がありました。
その後、JavaScriptの高速化という別の意味を持ちました。JavaScriptの数値型はNumber
;浮動小数点数と定められていますが、配列インデックスなど整数としての利用側面もあります。そこでJavaScriptエンジン内部ではNumber
の中でも整数として扱えるのであれば整数として処理してしまうことで高速化するものも登場しました。例えばGoogle v8であればsmiという特殊なオブジェクトが存在します。
// Smi represents integer Numbers that can be stored in 31 bits.
// Smis are immediate which means they are NOT allocated in the heap.
// The ptr_ value has the following format: [31 bit signed int] 0
// For long smis it has the following format:
// [32 bit signed int] [31 bits zero padding] 0
// Smi stands for small integer.
これを受けてasm.jsでは|0
は整数を表すアノテーションと定められています。
ちなみに|0
以外にも>>0
や~~
など手段は他にもあります。その上でなぜ|0
なのかというと、JavaScript演算子の優先順位の一覧表を見るとわかりますが、|
は優先順位がそこそこ低いため左側に来る式を ()
で括る状況が減らせるからです。