数値を16bitにキャストして正負判断するコードを考えています。
(short) n
lispではどのように書くのでしょうか?
数値を16bitにキャストして正負判断するコードを考えています。
(short) n
lispではどのように書くのでしょうか?
BLUEPIXYさんの回答に補足です。
変数が特定の範囲の整数であること、は型宣言できます。例えば:
(defun (foo x)
(declare (type (integer -32768 32767) x))
...)
こうすると、...の中ではコンパイラはxを-32768~32767の間の整数であるとしてコードを出すことが可能になります(但し、負数に2の補数表現を使っているとは限らないので、これが16bitに収まるかどうかは保証されません)
けれども、上記のコードでfooに正しい範囲の値を渡す責任はプログラマにあります。コンパイラは勝手に変換してくれません。(foo 1000000)
とかやったらどうなるかは処理系次第です。
そもそも元の値が16bitを越えていた時どうすべきか、にはいくつも解釈があり得ます(modulo 2^16として扱うか、例外を投げるか、クリップするか)。従って、プログラマが自分で決めて書いてやる必要があります。型宣言は主に、コンパイラが良いコードを出すためのヒントとして作用します。(例えば、16bit整数の配列に数値を出し入れする時に、型チェックが省略されるなど)。
そういう性能重要なコードを書いているのでなければ、数値の変換は暗黙に行われるので、プログラマからは「整数の型のバリエーション」を気にする必要はほとんどありません。正負の判定なら既に出ている回答のように単なる数値として符号を調べるだけでOKです。
以下は少し脇道に逸れます。単なる数値としてだけ符号を調べるなら、例えば次のようなコードが考えられます。速くしたいのでdeclare optimizeをつけてみました。
(defun sign1 (x)
(declare (optimize (safety 0) (debug 0) (speed 3)))
(cond ((< x 0) -1)
((> x 0) 1)
(t 0)))
これをSBCLでコンパイルして逆アセンブルすると:
; DISASSEMBLY FOR SIGN1
; 02AC52C2: 48895DF8 MOV [RBP-8], RBX ; NO-ARG-PARSING ENTRY POINT
; 2C6: 31FF XOR EDI, EDI
; 2C8: 488BD3 MOV RDX, RBX
; 2CB: 488D0C2530040020 LEA RCX, [#X20000430] ; GENERIC-<
; 2D3: FFD1 CALL RCX
; 2D5: 488B5DF8 MOV RBX, [RBP-8]
; 2D9: 7C24 JL L1
; 2DB: 31FF XOR EDI, EDI
; 2DD: 488BD3 MOV RDX, RBX
; 2E0: 488D0C2566040020 LEA RCX, [#X20000466] ; GENERIC->
; 2E8: FFD1 CALL RCX
; 2EA: BA00000000 MOV EDX, 0
; 2EF: 41BB02000000 MOV R11D, 2
; 2F5: 490F4FD3 CMOVNLE RDX, R11
; 2F9: L0: 488BE5 MOV RSP, RBP
; 2FC: F8 CLC
; 2FD: 5D POP RBP
; 2FE: C3 RET
; 2FF: L1: 48C7C2FEFFFFFF MOV RDX, -2
; 306: EBF1 JMP L0
大小比較にGENERIC-<
のような外部関数をいちいち呼び出していますね。引数に何が渡ってくるかわからないので、どんな値が来ても対応できるようにしなければならないからです。
これを、xがfixnumであると宣言すれば:
(defun sign2 (x)
(declare (optimize (safety 0) (debug 0) (speed 3))
(fixnum x))
(cond ((< x 0) -1)
((> x 0) 1)
(t 0)))
こうなります(xを-32768〜32767の範囲と宣言してもコードは同じでした):
; disassembly for SIGN2
; 02B3F91F: 4883FA00 CMP RDX, 0 ; no-arg-parsing entry point
; 23: 7C19 JL L1
; 25: 4883FA00 CMP RDX, 0
; 29: BA00000000 MOV EDX, 0
; 2E: 41BB02000000 MOV R11D, 2
; 34: 490F4FD3 CMOVNLE RDX, R11
; 38: L0: 488BE5 MOV RSP, RBP
; 3B: F8 CLC
; 3C: 5D POP RBP
; 3D: C3 RET
; 3E: L1: 48C7C2FEFFFFFF MOV RDX, -2
; 45: EBF1 JMP L0
xの比較がマシンインストラクションで行われました。が、変換のコードはどこにもありません。コンパイラは、プログラマが正しくfixnumのみを渡してくれることを期待しています。
もしsign2の呼出側でその保証が出来ないのであれば、sign関数側でチェックを入れる必要があります。例えばfixnumの範囲外をエラーにするなら:
(defun sign3 (x)
(unless (sb-int:fixnump x)
(error "out of range!"))
(locally (declare (optimize (safety 0) (debug 0) (speed 3))
(fixnum x))
(cond ((< x 0) -1)
((> x 0) 1)
(t 0))))
コードは大きくなりますが、fixnumを渡した場合はmov, cmpとjneを通るだけです。
; disassembly for SIGN3
; 02C3DB28: 40F6C601 TEST SIL, 1 ; no-arg-parsing entry point
; 2C: 752E JNE L2
; 2E: 488BD6 MOV RDX, RSI
; 31: 4883FA00 CMP RDX, 0
; 35: 7D0D JNL L1
; 37: 48C7C2FEFFFFFF MOV RDX, -2
; 3E: L0: 488BE5 MOV RSP, RBP
; 41: F8 CLC
; 42: 5D POP RBP
; 43: C3 RET
; 44: L1: 488BD6 MOV RDX, RSI
; 47: 4883FA00 CMP RDX, 0
; 4B: BA00000000 MOV EDX, 0
; 50: 41BB02000000 MOV R11D, 2
; 56: 490F4FD3 CMOVNLE RDX, R11
; 5A: EBE2 JMP L0
; 5C: L2: 488975F8 MOV [RBP-8], RSI
; 60: 488D5C24F0 LEA RBX, [RSP-16]
; 65: 4883EC18 SUB RSP, 24
; 69: 488B1560FFFFFF MOV RDX, [RIP-160] ; "out of range!"
; 70: 488B0561FFFFFF MOV RAX, [RIP-159] ; #<FDEFINITION object for ERROR>
; 77: B902000000 MOV ECX, 2
; 7C: 48892B MOV [RBX], RBP
; 7F: 488BEB MOV RBP, RBX
; 82: FF5009 CALL QWORD PTR [RAX+9]
; 85: 90 NOP
; 86: 488B75F8 MOV RSI, [RBP-8]
; 8A: CC0A BREAK 10 ; error trap
; 8C: 02 BYTE #X02
; 8D: 18 BYTE #X18 ; INVALID-ARG-COUNT-ERROR
; 8E: 54 BYTE #X54 ; RCX
それほど詳しくはないので間違ってたらすみません。
Common Lisp ではそもそも16ビット型の整数というのがありません。
(整数型が自然に切り替わる)
強いて言うならFIXNUM
がそうかもしれませんけども、
coerce
のような変換関数を使うにしてもそもそもがFIXNUM
の範囲の数値でなければ変換できません。(変換に失敗する)
だから正負判定がしたいのであれば
単に
(minusp n) ;負の数の時T
(plusp n) ;正の数の時T
(>= n 0) ; 0以上の時T
のようにします。
キャストのことは考慮しないとすれば、正負判断するには、専用の関数であるsignum
が使えます。
(signum -12341234)
;=> -1
(signum 0)
;=> 0
(signum 12341234)
;=> 1
キャストについてですが、効率のためということであれば、shiroさんとBLUEPIXYさんが既に回答されているように、fixnum
(64bit処理系であれば、60bit程度)以下にする必然性は殆どありません。
もし、C等でのキャストの動作を模倣したいということであれば自作することになると思います。
(defun signum-short (x)
(cond ((logbitp 15 x) -1)
((zerop (ldb (byte 16 0) x)) 0)
(T 1)))
(signum-short 1)
;=> 1
(signum-short -1)
;=> -1
(signum-short 32767)
;=> 1
(signum-short -32768)
;=> -1
(signum-short 32768)
;=> -1
(signum-short 0)
;=> 0
(signum-short 65536)
;=> 0
(signum-short -65536)
;=> 0
勿論、動作を同じにしたからといって最適化するとCと同じコードが出てくるわけではありません
単に16bitでマスクしたいという場合は、下記のように書けます。
(defun mask-16 (int)
(cond ((logbitp 15 int)
(dpb int (byte 16 0) -1))
(t
(ldb (byte 16 0) int))))
(mask-16 0)
;=> 0
(mask-16 65536)
;=> 0
(mask-16 #b1111111111111111111111111111111111111)
;=> -1
(mask-16 -32768)
;=> -32768
(mask-16 32768)
;=> -32768