isInteger()
メソッドがどういう意味のメソッドなのかです。二つのパターンを考えてみましょう。
Integer.parseInt(String)
がエラー無く解析可能な文字列ならば、真を返す。でなければ、偽を返す。なお、null
の場合も「エラー無く解析可能な文字列」ではないので、偽を返す。
- 整数の十進数表現であれば真を返す。そうで無ければ、偽を返す。ただし、
null
の場合はNullPointerExceptionが発生する。
もし、1.であれば、今の実装から大きく変更する必要は無いと思います。なぜなら、意味そのままの実装であるからです。むしろ、無理に正規表現で実装しようとした場合、int
の範囲を超えるような整数の前後で区別することが困難です(単純に\A[+-]?0*\d{1,10}\z
という正規表現では、"2147483647"
も"2147483648"
もマッチしますが、"2147483648"
はint
の範囲を超えているので、Integer.parseInt()
はエラーになるため、偽にすべき処理を別途入れる必要があります)。他にもInteger.parseInt()
は所謂全角数字(U+FF10'0'
~U+FF19'9'
)も解釈可能ですので、正規表現はより複雑になります。ですので、Integer.parseInt()
を例外処理を使うことは、読みやすさや実装しやすさを考えれば、べつに普通かと思います。これを、無理に文字列解析をしようとすると、ほぼ、Integer.parseInt()
の実装と同じことをする事になり、無駄が多いかと思います。敢えて直すとすれば、NullPointerException
をcatch
せずに、早期リターンすると良いかもしれません。
private boolean isInteger(String str) {
if (str == null) return false;
try {
Integer.parseInt(str);
} catch (NumberFormatException e) {
return false;
}
return true;
}
Integer.parseInt()
の実装とは関係無く、もっと言えば、int
等には関係無く、「整数の十進数表現」であるかどうかを確認したいのであれば、2.のような意味かも知れません。isInt
ではなくisInteger
としているのもそういう意図も考えられます。
「整数の十進数表現」はどういうものかです。たとえば、次のような定義が考えられます。
- U+0030
'0'
からU+0039'9'
の範囲の一つ以上の文字から構成される。
- 先頭にU+002B
'+'
またはU+002D'-'
を付けても良い。
- 桁数に制限は無い。
- 左側にいくつでもU+0030
'0'
埋めされていてもよい。("42"
だけではなく"00000042"
としてもよいということ)
このような定義なら、正規表現を使うと、\A[+-]?\d+\z
になるので、次のようになるでしょう。
private boolean isInteger(String str) {
return java.util.regex.Pattern.matches("\\A[+-]?\\d+\\z", str);
}
必ずしも、正規表現を使う必要はありません。正規表現が苦手なら、次のようにしても良いでしょう。
private static boolean isInteger(String str) {
if (str.isEmpty()) return false;
var first = str.charAt(0);
var skip = first == '+' || first == '-' ? 1 : 0;
return str.chars().skip(skip).allMatch(c -> c >= '0' && c <= '9');
}
もちろん、この2.の意味の場合は、Integer.parseInt()
を使っての実装はできないことになります。
Effective Javaも含めて、世の中には「こういうコードの書き方がお勧め」という本や記事がたくさんありますが、無理に従う必要はありません。原則に従うのでは無く、原則の意味が今のコードに当て嵌まるのか、それによって逆に可読性や効率の悪化が起きていないかは検討すべきです。こうすれば正解というのはありません。よりよりものを求める事は大事ですが、求めすぎても、返って効率を落とすだけのこともあるので、要はバランス感覚のようなものが大事なのかも知れません。