質問者氏の「バックアップ」と、読者の「バックアップ」の用語が使い方が違っているので混乱を招いているだけかと
- 読者一般にとってのバックアップ=過去のファイルを復活させる手段
- 質問者氏のバックアップ=現在ファイルの可用性・対障害性の向上のこと
ランサムウエア(デジタル身代金要求)の被害があったとき RAID では対処できない、バックアップが別途オフライン保存してあれば対処できる、という意味で RAID はバックアップの代わりになりません。 RAID1 でも RAID5 でも RAID6 でも暗号化されたデータによって上書きされちゃうからです。オンラインバックアップも暗号化されちゃったら意味がないですが、例えばウチなんかだと LTO (テープメディア) に取ったバックアップは不慮の事故で消さないように装置から外してオフライン保管していますので、こういう攻撃には「正しく運用されているバックアップ」があれば、強いはず。
あと質問者氏の訊きたいことは実はこっちなのでは?と妄想
Q1. RAID1 で片方の記憶装置だけに誤ったデータを書き込むことがあるか?
A1. 片方だけに誤ったデータを書き込むとは RAID1 カードの中で、あるいはカード→記憶装置への転送中、あるいは記憶装置の中で実媒体に書き込む際にデータが化けた場合であるはず。そういう化けが起こるとしたら RAID 構成でなくても起きるわけです。あとはその信頼性をどの程度に見積もるかだけ。 RAID1 カードという物理装置が1つ増えた分、化けの発生確率は上がっているが、実用上は発生しないと考えてよいだろうと推定してよいでしょう
Q2. RAID1 で片方の記憶装置のデータが化けている(=物理故障と判断されないレベル)とき、どちらの結果が OS に返されるか
A2. カードの実装によるでしょうが、たいていは下記のどちらかでしょう
- 先に応答が完了した装置の応答だけが OS に返される
- RAID1 カードが定めた1台の装置の応答だけが OS に返される
実際、2台の記憶装置しかないときはどっちが化けているのかは誰にも判断できません( RAID1 カードにとっても、人間にとっても)なのでこれを検出・訂正するには3台以上の記憶装置が必要です(多数決一致ではじくことができる)。3台以上の記憶装置を設置することができる状況では RAID5 に、4台以上設置可能なら RAID6 にしますので RAID1 で多数決一致判断するようなカードはまずないです。
Q3. RAID1 において片方の装置が「壊れている」とはどういうことか
A3. それはそのカード(とドライバ)の仕様次第なので、事前確認のこと
SMART 値を見ているかもしれないし READ/WRITE コマンドに対する応答時間で判断しているかもしれないし READ/WRITE コマンドに対する失敗応答を見ているかもしれないです。ハードディスク装置の壊れかけ状況では READ RETRY を数回繰り返さないと値が得られないことがあるなんてのが普通にありますが、片肺が健全ならそっちから先にデータを得られるので Q2 な状況にて対処できます。
RAID をどれだけ信頼して良いか・どのレベルの RAIDn が必要かは事前の検討が必要です。コストと可用性のバランス面で RAID1 は悪くない選択肢です。が RAID は過去ファイルを別途保存するものではないのでバックアップの代わりにはなりません。