下記のgit pushコマンドについて質問です。
1のコマンドではリモートリポジトリのdevブランチに、現在のHEADをプッシュすると考えているのですが、2の場合は何が違うのでしょうか?
git push origin dev
git push origin origin/dev
"origin/dev" ブランチは、"origin" というリモートの "dev" というブランチに対する「リモート追跡ブランチ」です。これに対して "dev" ブランチはローカルのブランチです。
詳しくは Pro Git の解説が分かりやすいです: Git のブランチ機能 - リモートブランチ
まず、Git で「追跡ブランチ」って言うのやめましょう - Qiita の説明と図がわかりやすいかなと思いますのでそちらの説明を読んでみてください。
リンク先の説明でわかる通り、ひとくちに master
と言っても、 ローカルに master
と origin/master
の2つと、リモートに master
の1つが一般的には関わってきます。
さて、 git push origin dev
コマンドは、 ローカルの dev
ブランチをリモートの dev
ブランチに同期させるコマンドです。
("現在のHEADをプッシュする" わけではありません)
同様に、 git push origin origin/dev
は、ローカルの origin/dev
ブランチをリモートの origin/dev
ブランチに同期させるコマンドということになります。
origin/dev
ブランチは冒頭リンク先の説明にある通りリモートを追跡しているブランチなので、それをリモートにpushするという行為は普通に考えて意味が無いです。
従って 2. のようなコマンドを実行する機会は無いでしょう。
(完全ではないですが、私がわかるところまで説明してみます)
実際に何が起こっているのかは、次のような手順で確認することができると思います。
まず、ローカルにリモート(origin)リポジトリとローカルリポジトリを作成します。
mkdir temp
cd temp
mkdir origin-repo
cd origin-repo
git init --bare
cd ..
git clone origin-repo local-repo
cd local-repo
この時点のリモートリポジトリの refs を見てみます。
tree ../origin-repo/refs/
結果:
../origin-repo/refs
├── heads
└── tags
続いて、ローカルでcommit, pushをおこなった後、同様にリモートリポジトリの refs を確認してみます。
git commit --allow-empty -m init
git push origin HEAD
tree ../origin-repo/refs/
結果:
../origin-repo/refs/
├── heads
│ └── main
└── tags
refs/heads/main
が作成されているのがわかります。
続いて、 origin/main
を push してみます。
git push origin origin/main
tree ../origin-repo/refs/
結果:
../origin-repo/refs/
├── heads
│ └── main
├── remotes
│ └── origin
│ └── main
└── tags
refs/remotes/origin/main
が作成されました。
ところで、このブランチは git branch -r
で表示されません。
checkout するには被らないような名前のローカルブランチにpullすれば良さそうです。
git pull origin origin/main:origin-main
git checkout origin-main