Markdown code を PDF に変換する場合、実際には jupyter-nbconvert
や pandoc
で Markdown code -> LaTeX code -> PDF
へと変換されています。
問題と見做されている件のテーブルですが、LaTeX
コードでは以下の様に変換されています。
\begin{longtable}[]{@{}lll@{}}
\toprule
野菜の名前 & 旬の季節 & おいしい食べ方\tabularnewline
\midrule
\endhead
キャベツ & 春から秋 &
お好み焼き、焼きそば、ロールキャベツ、茹でキャベツ、
キャベツ炒め、無限キャベツ、回鍋肉、ちゃんぽん\tabularnewline
大根 & 冬から春 &
ふろふき大根、お鍋、肉大根、大根ステーキ、刺身のつま、大根おろし、雪見鍋、大根ステーキ、おでん\tabularnewline
トマト & 春から秋 &
トマトサラダ、トマトソーススパゲティ、ラタトゥイユ、トマト鍋、トマトと卵炒め、ピザ、カプレーゼ\tabularnewline
\bottomrule
\end{longtable}
tabular
環境の column alignment は lll
となっていて、これは 1, 2, 3列目の配置を左寄せ(left-justified)するという意味になります。コメントにも書きましたが、LaTeX
では以下の様な「仕様」になっています。
LaTeX/Tables: Text wrapping in tables
LaTeX's algorithms for formatting tables have a few shortcomings. One is that it will not automatically wrap text in cells, even if it overruns the width of the page. For columns that will contain text whose length exceeds the column's desired width, it is recommended that you use the p
attribute and specify the desired width of the column (although it may take some trial-and-error to get the result you want).
つまり、これはバグではなく、PDF へ変換する手段として LaTeX
を利用した故の必然的な結果と言えます。
以降、対処の一例を述べます(あくまでも一例です)。
LuaLaTeX
を利用して LaTeX
コードを PDF に変換
デフォルトでは XeLaTeX
で変換が行われますが、今回は LuaLaTeX
を使います。これは LuaLaTeX
の機能(Lua
code の実行)を利用するためです。jupyter_notebook_config.py
に以下の設定を追加します。
jupyter_notebook_config.py
c.PDFExporter.latex_command = [u"lualatex", u"{filename}", "-quiet"]
※ 手元の環境の Ubuntu Linux では jupyter_notebook_config.py
は $HOME/.jupyter/
にあります。もしくは jupyter notebook --generate-config
を実行して新規に作成します。
tabulary を利用してテーブルをレンダリング
longtable とは異なって、tabulary.sty
ではカラムの幅を適当に計算してくれます。例えば左寄せで折り返しを行う場合には L
を指定します(右寄せ r -> R
, センタリング c -> C
をそれぞれ指定)。
longtable
の場合
\begin{longtable}[]{@{}lllp{30em}@{}}
tabulary
の場合
\begin{tabulary}[]{@{}llL@{}}
nbconvert
のテンプレートファイルに変換用のコードを追加
質問文中の記事 Jupyter Labから日本語PDFを出力する2021 の「nbconvertテンプレートの改変」で言及されている index.tex.j2
に以下のコードを追加します。
%===============================================================================
% Latex Article
%===============================================================================
((*- block docclass -*))
\documentclass[a4paper,lualatex,ja=standard]{bxjsarticle}
\usepackage{longtable}
\usepackage{tabulary}
\usepackage{luacode}
\renewenvironment{longtable}[2][]{
\tabulary{\textwidth}{#2}
}{\endtabulary}
\renewcommand{\endhead}{}
\begin{luacode}
luatexbase.add_to_callback('process_input_buffer',
function (buf)
return buf:gsub(
'^%s*(\\begin%{longtable%}%[.*%].*@%{%})(.*)(.)(@%{%}.*)$',
function (a, b, c, d)
return a..b..c:upper()..d
end)
end, 'wrap text at last column in table')
\end{luacode}
((*- endblock docclass -*))
特に説明はしませんが、longtable
環境を tabulary
環境に置き換えて、テーブルの最後のカラムで自動折り返しを行う様に変更する処理を行っています。
\begin{longtable}[]{@{}lll@{}}
=>
\begin{tabulary}[]{@{}llL@{}}
上記の変更を行って、Download as > PDF via LaTex (.pdf)
を選択した結果が以下になります。
p{30em}
などに変更してから eLaTeX でコンパイルすると希望通りになりますが、面倒くさいですよね。。。