C++での配列(固定長)
には以下の2つがあると思いますが、std::array
の方が確実に便利だと感じます。
そこで完全にstd::array
に移行する際に、std::array
にデメリットはないのかなと思い、質問させていただきました。
int arr[10];
#include <array>
std::array<int, 10> arr;
既存の関数が、 int*
等のポインター型を要求することが多々あります。
その際、C配列 int arr[10]
ですと、歴史的に arr
は int*
へ暗黙変換が可能なのでそのまま渡せます。
対してC++配列 std::array<int, 10> arr
ですと、 arr.data()
等の記述が必要になりその部分が煩わしくなるかもしれません。
どちらであっても std::data(arr)
で int*
が取得可能なので、まずはそのように記述しておくのも一つの手です。
配列の長さを取得する際にめんどくさいなと感じ
こちらも std::size(arr)
でC配列・C++配列両方の長さを取得できます。
なお、C++20ではstd::span
も登場しています。関数を設計する際、引数はstd::span
で受け取るという選択肢もあります。std::span
でしたら、C配列・C++配列だけでなくstd::vector
なども使用可能です。
完全に
std::array
に移行する際に、std::array
にデメリットはないのか
配列型T[N]
よりも新しいstd::array<T, N>
コンテナ利用を推奨します。が、あえてデメリットを挙げるとしたら:
std::array
のconstexpr対応が不完全なため、配列型でないとconstexpr関数を実装できないケースがありました。C++17以降では要素アクセスやbegin
/end
もconstexpr対応したため、素直にstd::array
を利用できます。std::array
利用時の型名が複雑になりがちです(単に慣れの問題もあるとは思います)。std::array
はテンプレートを利用した実装なので、組み込み配列型を使用した場合と比べるとコンパイル時間やコードサイズが増大してしまう可能性はあります。
また、コンパイラによる最適化がうまく効かない場合、組み込み配列型よりも実行速度が低下してしまうケースがあるかもしれません。もちろん、逆にstd::array
を使ったほうが高速化されるケースもあると思います(特にサイズの小さい固定長配列全体を、関数に値渡しする場合)。
インライン化できるような場面では、最終的にstd::array
を使った場合も組み込み配列型を使った場合もまったく同じコンパイル結果になると思いますが、コンパイラの実装にも依存します。
std::array
でいいのでは?と思った次第です。質問がわかりずらかったので修正しました。