C言語などのプログラミングにはGCCなどのコンパイラが必要ですよね。ですが、そもそもの話、コンパイラというプログラムを作るためにコンパイラが必要になるわけで、ここにパラドックスが生じてしまいます。
コンパイラをコンパイルするためのコンパイラはどのようにして開発されたのですか? すべての源となるコンパイラはアセンブリ言語やマシン語で開発されたのでしょうか?
GCC登場以前からCコンパイラーは存在していました。そのため、GCCは既存のCコンパイラーを使ってコンパイルされることを前提に設計されています。例えばビルド方法も
と3回ビルドを行い、最終的にstage3のGCCが使われます。
そうはいっても既存のCコンパイラーが存在しない環境ではどう作るのかというと、クロスコンパイルという技術があります。別のプラットフォームのCコンパイラーでビルドを行いコード生成します。
と呼び、ホスト上でターゲット向け実行ファイルを生成できるクロスコンパイラーを用意します。
C言語はUNIXを記述するために設計されました。
当初はアセンブリ言語のみで開発されたが、1973年にほぼ全体をC言語で書き直した。
とも説明されています。UNIXでは小さなツールを組み合わせて構築されますがCコンパイラーも例外ではなくcc
は次のツールを呼び出すことで成り立っています。
cpp
; Cプリプロセッサー。.c
ソースファイルから#include
、#define
などのプリプロセッサディレクティブを処理し.i
ファイルを生成する。cc1
; 狭義のCコンパイラー。.i
ファイルをコンパイルし、.s
アセンブリソースを生成する。as
; アセンブラー。.s
ファイルから.o
オブジェクトファイルを生成する。ar
; アーカイバー。複数の.o
ファイルをまとめて.a
ライブラリファイルを生成する。ld
; リンカー。複数の.o
ファイルと.a
ファイルをまとめて実行ファイルを生成する。UNIX OS全てをC言語で書き直すプロジェクトにおいて、Cコンパイラーもその一部でしかなく、一緒に書き直されたのかな、と想像しています。
C++コンパイラーも大きなものですが、C++コンパイラーの元祖CfrontはC++ソースからCソースへ変換するツールだったりします。
この話題には、コンパイラのブートストラップ問題という名前が付いています
本当の本当に最初にはその計算機が理解できる言葉、いわゆるマシン語で実装することになります。また、アセンブラが実装済みであればアセンブリで実装できます。
別の計算機でコンパイラが実装済みであれば、クロスコンパイラも実装することによって実装できます。
また、その計算機において別の言語のコンパイラが実装済みであれば、その別の言語でコンパイラを実装することによって実装できます。
更には、コンパイラが自分自身をコンパイルできるようにするところまで実装できる場合もあり、これをコンパイラのセルフホスティングと言います。
アセンブラで開発されます
そして、その言語でコンパイラを作り、アセンブラで開発されたコンパイラに掛け、次のバージョンのコンパイラが生成されます。
そして、その言語でそのまた次のバージョンを組み、そのコンパイラにかけて、、、と繰り返していきます
そうやっていまのGCCができました
C言語はベル研究所で開発されました。
以下のページにはその歴史がDennis M. Ritchie氏によって記述されています。
https://www.bell-labs.com/usr/dmr/www/chist.html
BCPL => B言語 => C言語 の順で作られたようですが、並走で使われていたようです。
そして、コンピューター側の発展も関連しているようです。つまり、ある言語が稼働するには、それが可能な性能を持つコンピュータが必要とのことでしょう。
あたりまえの事ですが、新しい物はすべからくその時あるものから生み出されるということです。