変数展開
Google Colaboratory では Jupyter Notebook の IPython カーネルを使っており、変数展開も IPython に準じた挙動をします。このため、IPython のドキュメントなどを調べると良いです。
まず !
を先頭に付ける形のシェル実行では、使える変数が 2 種類あることに注意してください。ひとつは Python の変数、もうひとつはシェルで使える変数(たとえば環境変数)です。
$name
や {name}
を使うと Python の変数を展開することができます。更に後者では変数に限らず一般の式を入れられます。シェルの変数を展開するには $
を $$
でエスケープします。
以下実行例です。
# これは Python の変数
foo = 42
!echo $foo
!echo {foo}
!echo {foo + 1}
# これは環境変数
!echo $$PATH
42
42
43
/usr/local/nvidia/bin:/usr/local/cuda/bin:/usr/local/sbin:/usr/local/bin:/usr/sbin:/usr/bin:/sbin:/bin:/tools/node/bin:/tools/google-cloud-sdk/bin:/opt/bin
文字列結合
Python の変数を使う場合、Python の変数が展開された後にシェルスクリプトがシェルに解釈されることに注意しつつ書けば良いです。エッジケースまで考えると面倒くさいので、Python の側で文字列を結合してしまうのが個人的には好みです。
例1
fc = "test.txt"
!echo '{fc + '.bak'}'
例2
fc = "test.txt"
backup_filename = f"{fc}.bak"
!echo '{backup_filename}'
Python の変数が展開された後にスペースやクォートなどが入ってシェルによるパースに影響しないかに注意してください。
質問文の例
最後に補足として、質問文にある 4 つの例がどのように解釈されていたかを説明します。
# これは Python の変数。
fc = "test.txt"
# $name 形式で Python の変数を展開しています。
!echo $fc
# $name 形式で Python の変数を展開しています。シェルには "test.txt".bak という文字列が渡り、シェルでは全て文字列なのでそのまま結合されます。
!echo "$fc".bak
# {name} 形式で Python の変数が展開された後、$name 形式でシェルの変数が展開されていると思われます。
# 今回の場合、まず $test.txt.bak がシェルに渡り、シェル側では $test は空文字列なので .txt.bak になります。
# このことはたとえば fc = "PATH.txt" とすると確かめられます。
!echo ${fc}.bak
# {name} 形式で Python の変数を展開しています。
!echo {fc}.bak