結論を先に書くと、
@State
を付けたプロパティは、イニシャライザの中で値を変更しても必ず無視されます。
残念ながら、@State
の詳細についてきちんと解説した記事を見つけ出すことはできなかったのですが、Swift言語開発のコアメンバーでもあるJoe Groff氏が書いている記事が見つかりました。
forums.swift.orgの@State messing with initializer flowというスレより:
https://forums.swift.org/t/state-messing-with-initializer-flow/25276/3
Although that will compile, @State variables in SwiftUI should not be
initialized from data you pass down through the initializer; since the
model is maintained outside of the view, there is no guarantee that
the value will really be used. The correct thing to do is to set your
initial state values inline:
@State private var viewModel = SignInViewModel(...)
(抄訳)
SwiftUIの@State
変数はイニシャライザに渡された値から初期化しちゃいけない
思いっきり略してしまいましたが、ネットのあちこちを探して得た情報をまとめると、
@State
を付けた変数の実際の記憶領域は、SwiftUIによって割り当てられる
- イニシャライザの中では、それはまだ割り当てられていない
(現在の実装では、その状態で更新しようとしてもエラーにもならず無視される。)
- 領域が割り当てられて正しく参照(更新も)できるのが保証されるのは
body
が呼ばれたとき
と言うわけで、@State
を付けた変数は、最初にも書きましたが、
イニシャライザの中で値を変更しても必ず無視される
と言うことになります。
また、SwiftUIが管理していない型(要はView
以外の型)では、イニシャライザの中以外でも使えません。
@State
変数を固定値や簡単な式ではなく、何らかの処理の結果で初期化したいのであれば、例えばこんな風に書くことができます。
import SwiftUI
struct ContentView: View {
var words1: [String]
@State var words2: [String]
init() {
self.words1 = ["hello","world","programming","Swift"]
var initWords2: [String] = []
for word in self.words1 {
initWords2.append(word)
}
_words2 = State(initialValue: initWords2)
}
var body: some View {
VStack {
Text("Hello, World!")
//`body`内では`words2`に正しくアクセスできる
List(words2, id: \.self) {word in
Text(word)
}
}
}
}
以前別スレで解説したように@State
をつけた変数宣言は、実はState<T>
(いまの場合State<[String]>
)型の変数_words2
なんてものを宣言していることになるので、その変数をState.init(initialValue:)
と言うイニシャライザで初期化してやります。