signIn(withEmail:link:)
メソッドの{}
内の処理の流れがよく分かりません。
{}
は、クロージャ(Closure)です。まったく実用面で意味のないクロージャですが、わかりやすさ優先で例を出すと、
let plus = { (a: Int, b: Int) -> Int in
return a + b
}
(a: Int, b: Int)
が引数部分、-> Int
が返り値を表し、in
以下がクロージャの実装部分です。すなわち、関数と同じ構造になっており、ほぼ関数と同じ働きをします。関数でなくクロージャを使う利点は、例のように、クロージャを変数に代入できることです。上のコードに続いて、
let c = plus(a: 4, b: 3) // c = 7
と書いて、クロージャを実行できます。まんま関数ですね。クロージャと関数の違いは、主にその永続性にあります。関数(独立関数)は、グローバルで、プログラムと同じ寿命を持ち、クラスのメンバーである関数、すなわちメソッドは、インスタンスと同じ寿命になります。対して、クロージャは、一般の値型変数と同じく、コードブロック({
から}
まで)がその寿命になります。
クロージャは、ほかの言語で「ラムダ式」、「無名関数」などと呼ばれていますので、Swiftから離れて、少しネットで調べてみるといいでしょう。
クロージャは変数に代入できますから、関数の引数になります。クロージャを引数にとる関数の例を示します。
func hoge(a: Int, b: Int, operation: (Int, Int) -> Int) -> Int {
return operation(a, b)
}
クロージャを代入した変数にも型があり、それは(Int, Int) -> Int
のような表記になります。
let m = hoge(a: 3, b: 4, operation: plus) // m = 7
クロージャ型の引数は、直接クロージャの実装を記述することができます。
let n = hoge(a: 8, b: 3, operation: { (a, b) -> Int in
return a - b
})
// n = 5
ここまではよろしいでしょうか?
クロージャを引数にとる関数に対して、Swiftは特別な構文を認めています。クロージャ型の引数が最後尾にあるという条件で、クロージャを()
の外に出すことができます。上のコードは、このように書き換えできます。
let n = hoge(a: 8, b: 3) { (a, b) -> Int in
return a - b
}
クロージャの実装が長くなると、関数の最後、})
が何のことなのか、すぐに判断できにくくなります。そういう判断のしにくさを緩和する意図だと思われます。
このような構文は何と呼ばれるものですか?
ここまでくると、この疑問に答えを出すことができますね。すなわち、クロージャを引数にとるメソッドです。
あともうすこしです。(ここで全て疑問が解けているなら、これ以上読んでいただかなくてもけっこうです)
ではつぎの二つのケースを考えてみましょう。ひとつは、関数の引数がクロージャ型一つだけ取るケース。もうひとつは、引数も返り値もないクロージャというケース。この二つのケースを満たすサンプルはこうなります。
func fuga(doThis: () -> ()) {
doThis()
}
引数も返り値もないクロージャの型は、() -> Void
ないし() -> ()
と書きます。後者が推奨されているようです。
この関数を実行するには、こう書きます。
fuga(doThis: { () -> () in
print("Hello")
})
// 出力 Hello
(関数の書き方と同じく、返り値のないクロージャは、return
行を書きません)
これを省略した構文で書くと、まずクロージャ型の引数は()
の外に出され、かつ()
は記述不用となります。そして、クロージャの引数と返り値の型は省略され、in
も不用となります。
fuga {
print("Hello")
}
これで、self.hideSpinner{}
の謎が解決しました。お疲れ様でした。