結論としては、fs.createReadStream
とfs.createWriteStream
ではencoding
オプションの意味が少し違います。
前提として、fs.createReadStream
やfs.createWriteStream
については、ファイルがバイナリかテキストかということではなく、それによって読み書きされるデータがバイナリかテキストかということを考えたほうがよいです。
どんなファイルであっても、結局中身はバイナリデータに過ぎません。そのバイナリデータがUTF-8などの文字エンコーディングに従っている場合に我々はそれがテキストファイルであると認識します。
まずfs.createWriteStream
については、encoding
オプションは「データとして文字列が渡されたときにその文字列をどのエンコーディングでバイナリデータに変換するか」を指定する意味を持ちます。encoding
オプションにどのような値が渡されていたとしても、直接用意したバイナリデータをファイルに保存したい場合はBuffer
オブジェクトを用意すればOKです。
ですから、そのような場合、つまり(テキストファイルではなく)バイナリファイルを作成したい場合でも、fs.createWriteStream
のencoding
オプションにnull
などを渡す必要はありません。
よって、fs.createWriteStream
のencoding
オプションのデフォルト値は、文字列を渡されたときにそれをどの文字エンコーディングで扱うのが普通かという観点から考えるべきでしょう。
これについては明確に議論しているドキュメントは残念ながら見つけられませんでしたが、現代で国際的にまともに使用可能なのはUnicodeだけであり、ASCIIとの親和性などの観点から、一般的な用途で最も利用が推奨されているのはUTF-8です。ですから、文字列のエンコーディングのデフォルト値にふさわしいのはUTF-8なのは明らかかと思います。一応、node.jsのソースコードに参考になるコメントがあります(3行目)。
// Crypto is kind of old and crusty. Historically, its default string
// encoding is 'binary' so we have to make this configurable.
// Everything else in the universe uses 'utf8', though.
this.defaultEncoding = options.defaultEncoding || 'utf8';
fs.createReadStream
については、encoding
を指定すると、読み込んだバイナリデータを自動的に文字列に変換してくれるという便利機能であると考えられます。
ですから、読み込んだデータをバイナリデータ(Buffer
)として渡してほしいのか、それとも文字列として渡して欲しいのかという観点からencoding
の指定を考えることになります。
利便性の観点からいえばデータを文字列として欲しいのは扱っているファイルがテキストファイルの場合でしょうから、ファイルがバイナリファイルかテキストファイルかという観点は強ち間違いとも言えません。
この場合、確かにデフォルトを"utf8"
などにしておいて、Buffer
でデータが欲しい場合はオプションで明示するというデザインも可能かと思います。
これに関しても残念ながら私は明確な答えを見つけることができませんでしたが、少なくともnode.jsのデザインはそのようになっていません。
理由に関しては推測ですが、わざわざファイルをストリームで読み込む場合はバッファで欲しいことが多い(テキストファイルの場合でも文字列処理を行わない場合はわざわざバイナリデータをデコードする処理を挟む必要がない)ことや、encoding
という名前のオプションでデータをBuffer
として扱うことを明示するというのは分かりにくいことが挙げられます。
実際、現在のReadableStream
のデザインでは、setEncoding
を呼んだら(たとえsetEncoding(null)
だとしても)データは文字列となり、データをバイナリデータ(Buffer
)で欲しい場合はsetEncoding
を全く呼ばないことが求められます。