c は太古からある言語です。 c++ は c との互換性を重要視している言語なので、この件に関しては事情は c と同じです。というあたりを知ってもらった上で
c は 8bit マイコンでも 16bit マイコンでも使える言語です。そして int
は「その処理系で自然な大きさ」を選べるよう、言語規格書上は大きさ(ビット数)を厳密に定めていません。
c99 言語規格書 ISO/IEC 9899:1999 が定めているのは
char
は 8bit 以上 int
以下のサイズであること
int
は 16bit 以上のサイズであること
long
は 32bit 以上 long long
以下のサイズであること
long long
は 64bit 以上のサイズであること
今でも組み込み系で当然のように使っている 8/16bit マイコンで先の条件を満たすには
char
8bit
int
16bit
long
32bit
32bit マイコンあるいは x86 等の高級 32bit プロセッサでは同様
char
8bit
short
16bit
int
32bit
では long
や long long
を具体的にどの大きさにするかはプロセッサ自体の設計者やコンパイラの設計者や OS 自体の仕様策定者の判断にゆだねられるところです。この判断の基準には
- よりハードウエアの性能を引き出しやすい (32bit 専用ソースを書きたい)
- より既存のソフトウエアを移植しやすい (16bit 時代のソースに手を入れたくない)
という相反する面があって、紆余曲折の末、多くの 32bit プロセッサ用コンパイラでは
long
32bit (16bit 時代のソースコードとの互換性確保のため)
long long
64bit (long
より大きい型が必要になったため)
に落ち着いています(ご質問の中に書かれているとおり)。
なのでご質問に対する回答は「昔のソースコードを移植しやすい型サイズを選んだ結果、このサイズが採用されている」となるでしょう。
64bit プロセッサの場合は「既存のソフトウエアとの互換」面が特に重要視されており、型の大きさに関しては異なる仕様が並存しているのが現状です。 LP64 とか LLP64 とか。
https://project-flora.net/2015/07/21/cc%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E6%95%B4%E6%95%B0%E5%9E%8B%E3%81%AB%E3%81%AF%E6%B0%97%E3%82%92%E3%81%A4%E3%81%91%E3%82%88/
そして型の大きさがコンパイラによって異なるのはすごく不便と言うことで c99 や c++11 では大きさを厳密に定めた型とかが追加されています(上記ページでも解説されています)。移植性を重視するなど型の大きさを気にする必要がある場合は int
や long
といった処理系ごとに大きさが違う可能性のある型を使わずに int16_t
などを使うことが推奨されています。