そこは継承・派生機構の基礎中の基礎というか、技術論というより概念理解なので、本人がどう納得するか次第なところです。たとえ話をしてもよいのだけど、深い理解に至るにはその最初のたとえ話が邪魔立ったりする箇所です。
提示例に従うなら
- Clock
とは時計一般(およそ時計ならなんでも Clock
)
- LaughClock
とは時計であって、特に笑う時計
ということは数学的には LaughClock
⊂ Clock
つまり LaughClock
は Clock
の部分集合と表記できます。普通に日本語で書けば LaughClock
は Clock
の一種。
A1.
Clock* c = new LaughClock();
ができる理由
LaughClock
であるものは必ず Clock
だから。
LaughClock* d = new Clock();
ができない理由
Clock
であるものは LaughClock
だとは限らないから。
ここんところはちょっとわかりにくいですね。下記のような状況を想定すると
class SobClock : public Clock { ... };
上記 LaughClock
と SobClock
は別な物であるとわかりますか?(共通なところもあるので「まるっきり別物」ではないが、同じに扱うことはできません)これが納得できるなら
Clock* c = new SobClock(); // 問題ない
LaughClock* d = c; // できない
上記 d=c;
ができてしまうとまずい、ということも理解できると思います。(これができてはならない、と理解するのが肝だったりします)。
なのでコンパイラはこのような初期化や代入を禁じています。その判断基準は「型の継承関係」だけという仕様なので、右辺が new Clock()
であってもエラーになります。
派生先の型へのポインタから基底型へのポインタに変換すること=OK(仕様上必ずできる)
基底型へのポインタから派生先の型へのポインタに変換すること=NG(できるとは限らない)
後者の変換ができる(した結果問題が無い)場合もありますが、この変換のためにはキャストを明示する必要があります。
A2. 実は A1. とまったく同じ。
Clock
であるものならば、必ず Action()
できる。
LaughClock
であるものは Clock
でもあるから以下同文。