Swiftで以下のコードを実行すると、変数bmiの出力値は25.0となるのにBool文がFalseとなります。
何が問題でしょうか
import UIKit
var weight = 64.0
var height = 1.6
var bmi = weight / pow(height, 2)
print(Bool(bmi == 25))
単なる用語の問題ですが、「Bool文」と言うものはありません。また、Swiftの比較演算子はBool
型の値を返すので、比較式をBool(...)
で囲むのは意味がありません。
print(bmi == 25) //-> false
さて、本題ですが、あなたが書かれたような事象は、Swiftに限らず小数を2進浮動小数点数(長ったらしいですが、binary floating point numberの訳です、単に「浮動小数点」や「浮動小数」と現すこともありますが、10進の場合はまた動作が異なるので「2進」であることは忘れない方がいいでしょう)で表すプログラミング言語では必ず発生する問題です。2進浮動小数点数では、1.6
のような単純な値さえ正確には表せません。
今のバージョンのSwiftならdebugPrint()
を使うと、四捨五入による誤差があまり入らないように結果を表示してくれます。
print(bmi) //-> 25.0
debugPrint(bmi) //-> 24.999999999999996
(bmi
の中身は2進数で保持されているので、24.999999999999996
も正確ではないのですが、25.0
よりは誤差が少なくなっています。)
したがって、通常Double
やFloat
などの2進浮動小数点数の比較を行う場合、==
演算子は使わず、許容誤差を決めて、差がその誤差の範囲に収まれば「等しい」と判定します。
let epsilon = 0.00000000001
if abs(bmi - 25) < epsilon {
print("bmi = 25")
} else {
print("bmi ≠ 25")
}
//-> bmi = 25
10進数型を使えばこのような(10進法で想起される結果との)誤差は生じにくいわけですが:
import Foundation
var weight: Decimal = 64.0
var height: Decimal = Decimal(string: "1.6")! //<- 誤差が入らないように、文字列から直接10進数型に変換する
var bmi: Decimal = weight / pow(height, 2)
print(bmi) //-> 25
debugPrint(bmi) //-> 25
print(bmi - 25.0) //-> 0
print(bmi == 25) //-> true
ただし、10進数型と言っても有効数字は有限なので、思わぬ誤差が入ることもあります。
と言う基本テクニックを覚えておいたほうがいいでしょう。
興味がおありならば、「2進浮動小数点数 誤差」で検索すれば、山ほど参考になる記事がヒットします。