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現在シミュレーションに必要な逆行列の計算をpythonで行なっています。
データは ndarray, dtype=np.float64 型の変数 A に格納されており、A はおよそ 400×400 のマトリックスになっています。以下の方法によって逆行列を求めました。

import numpy as np
Ainv = np.linalg.inv(A)

ここまでは特にエラーなどなく計算できるのですが、この後

AAi = np.dot(A,Ainv)
AiA = np.dot(Ainv,A)

などもとの行列との逆行列の積を計算すると、本来単位行列になっていて欲しいのに、全く異なる値が返されます(たとえばAAi[0][0]=6.68, AiA[0][0]=5.8e+15など)。

そこであらかじめ

A = A[:100,:100]

などと範囲を区切って同様の計算を行うと、1となっていてほしい項が9.9997e-01, 0になっていて欲しい項は***e-05~***e-11などになっており、桁の精度は別として正しい計算となっています(具体的には要素数が106×106を超えたあたりから一桁目が合わなくなりました。逆に80×80程度だと6桁程度の精度で単位行列となっています)。

行列の要素数の増加によって精度が悪くなり、結果として元の行列と逆行列の積も単位行列ではなくなってしまっていると考えられるのですが、精度良くこれを求める方法はないでしょうか? 多少計算に時間がかかっても構いません。

環境:
python2.7.9
numpy1.14.0(lapack,blasは導入済み)

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    念の為の確認なのですが、どうしても逆行列そのものが必要ですか? (数値計算を行う際、条件数が大きい行列の逆行列を直接求めるのは悪手で、LU 分解などを通して直接の逆行列計算を回避して計算しますが、それは考えられないということでしょうか?) – nekketsuuu 18年2月7日 14:38
  • np.linalg.cond(A) の結果を教えて頂けませんでしょうか。 – nekketsuuu 18年2月7日 14:50
  • 1
    はい。シミュレーション上、逆行列そのものが欲しいのです。np.linalg.cond(A)の結果は 3.16e+18 です。A = A[:10,:10] とすると 1366. 5, A = A[:100,:100] とすると 1.03e+11 などとなっています。 – user19452 18年2月8日 8:55
  • こちらでnp.linalg.condの値が1e+19前後になるような行列を作成してnp.linalg.invをやって見ましたが、AAiAiAがそこまでずれることはなかったです。gistかpastebinあたりにそのようになる行列の例を載せることは可能でしょうか。 – packet0 18年2月12日 5:22
  • @user19452 日本語版スタック・オーバーフローと同系列の Q&A サイトである Computational Science Stack Exchange であれば、効果的な回答を得られるかもしれません。 – nekketsuuu 18年3月20日 9:58
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Python で計算する際に限らず数値計算一般において、逆行列を直接求めると誤差が大きくなることがあります。理論的には行列の条件数を使った解析ができ、一般に条件数が大きいと逆行列に含まれうる誤差が大きくなります。今回質問者さんが逆行列を求めたい行列の条件数は 10¹⁸ 程度とのことですが、これはとても大きいです。このため np.linalg.inv(A) で求めた逆行列に誤差が多く含まれても不思議ではありません。

そこで、数値計算を行っていて計算式の途中で逆行列が必要になった場合、それを陽には求めず LU 分解などを使って間接的に解だけ求めることがよく行われています。inv() ではなく solve() を使った方が精度が出るのはこのためです。しかし今回はそうではなく逆行列そのものが欲しいとのことですので、この方法は使えません。(ただし、本当に逆行列そのものが必要なのかは再度検討なさってください。)

そこで、行列の条件数を減らすように式変形できないか考えます。

簡単な例だと、行列の各成分をスケーリングすることで条件数が小さくなることがあります。たとえば「数値解の品質:条件、安定性、誤差解析」というページから例を頂くと、以下の行列 A は条件数が大きい (つまり、ill-conditioned である) ような行列です。

A = \left( \begin{array}{cc} 2 \times 10^9 & 10^9 \ 10^{-9} & 2 \times 10^{-9} \ \end{array} \right)

しかし適当な対角行列を掛けることで、行列の条件数を小さくすることができます。

B = \left( \begin{array}{cc} 10^{-9} & 0 \ 0 & 10^9 \ \end{array} \right) \left( \begin{array}{cc} 2 \times 10^9 & 10^9 \ 10^{-9} & 2 \times 10^{-9} \ \end{array} \right) = \left( \begin{array}{cc} 2 & 1 \ 1 & 2 \ \end{array} \right)

これがスケーリングです。問題の設定によっては、事前にこのような計算を行っておくことで逆行列を精度良く求められます。(とはいえ LAPACK は自動的にこのようなことをしているそうなので [要出典]、どこまで変わるかは分かりませんが……。) また、私は詳しくありませんがスケーリングと関連する話題として preconditioning というものがあるらしく、英語版 Wikipedia の "Preconditioner" にはまとまった解説が載っているようです。

更に、元の行列を特異値分解した上で逆行列を求めると上手くいくこともあるようです。これは姉妹サイトの Computational Science Stack Exchange で私が質問して教えてもらいました。詳細はこちらをご覧ください

以上の手法たちは常に使えるというわけではないですが、問題の性質によっては上手くいくかもしれないので、お試しください。

参考

(文中でリンクしたページたちです)

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データの性質によるのかも知れませんが、次のように一様分布の乱数行列だと、結果はほぼ1,1になりました。

import numpy as np

A = np.random.rand(400, 400)

Ainv = np.linalg.inv(A)

AAi = np.dot(A, Ainv)
AiA = np.dot(Ainv, A)


for i in range(400):
    print(AAi[i][i], AiA[i][i])

結果

(0.999999999999984, 0.9999999999998891)
(1.0000000000000198, 0.9999999999999999)
(0.9999999999999643, 1.0000000000002853)
(1.0000000000000118, 1.0000000000000686)
(1.0000000000001563, 0.9999999999999708)
(1.000000000000004, 1.0000000000000784)
以下略

ただ、inv()では精度が出ないと言う話は聞いたことがあり、その場合solve()を使えとのことです。

Ainv = np.linalg.solve(A, np.eye(400))

これでもほぼ1,1が得られました。なお、np.show_config()は次の通り。実行時ではなくコンパイル時の設定らしいので、参考になるかわかりません。lapack, blas, openblas, atlasなどとりあえず全部インストールした状態です。

lapack_info:
    libraries = ['lapack', 'lapack']
    library_dirs = ['/usr/lib']
    language = f77
lapack_opt_info:
    libraries = ['lapack', 'lapack', 'blas', 'blas']
    library_dirs = ['/usr/lib']
    language = c
    define_macros = [('NO_ATLAS_INFO', 1), ('HAVE_CBLAS', None)]
openblas_lapack_info:
  NOT AVAILABLE
blas_info:
    libraries = ['blas', 'blas']
    library_dirs = ['/usr/lib']
    define_macros = [('HAVE_CBLAS', None)]
    language = c
atlas_3_10_blas_threads_info:
  NOT AVAILABLE
atlas_threads_info:
  NOT AVAILABLE
atlas_3_10_threads_info:
  NOT AVAILABLE
atlas_blas_info:
  NOT AVAILABLE
atlas_3_10_blas_info:
  NOT AVAILABLE
atlas_blas_threads_info:
  NOT AVAILABLE
openblas_info:
  NOT AVAILABLE
blas_mkl_info:
  NOT AVAILABLE
blas_opt_info:
    libraries = ['blas', 'blas']
    library_dirs = ['/usr/lib']
    language = c
    define_macros = [('NO_ATLAS_INFO', 1), ('HAVE_CBLAS', None)]
atlas_info:
  NOT AVAILABLE
atlas_3_10_info:
  NOT AVAILABLE
lapack_mkl_info:
  NOT AVAILABLE
mkl_info:
  NOT AVAILABLE
  • ありがとうございます。提示いただいた一様乱数の行列でテストして見たところ、この場合はこちらの環境でも非常に正確に単位行列になっていました。行列データの性質によって精度も大きく変わってくるようです。 – user19452 18年2月9日 9:19
  • また、inv ではなく solve を使った方法も試しましたが結果は全く同じでした。 – user19452 18年2月9日 9:30
  • と言うことは情報落ちとか桁落ちが発生しているのでしょうね。地道に計算の順序を工夫するとかしないと行けなさそうです。 – Kenji Noguchi 18年2月9日 18:17

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