Javaで以下のようにint型の変数にchar型を代入してもコンパイル・実行できる理由がよくわかりません。
なぜコンパイルできるのか?また、なぜ出力がこの値になるのか分かる方いませんでしょうか。
public class Test {
public static void main(String[] args) {
int i = 'あ';
System.out.println(i);
}
}
▼実行結果
12354
ニュアンスとしては、表現力の小さい型から、(それを包含する)表現力の大きい型へ変換する場合には問題が発生する要素がないので、特別な手続きなしに暗黙的に変換してくれる、という考え方になります。
今回の件で言うと、'あ'
はchar
型、i
はint
型です。
char
で表現できる数値は全てint
も表現可能なのでプログラマに意識させずにJavaが変換してくれています。
あ
のUTF-16コードは次のPDFに記載されている通り16進数で3042
ですが、これを10進数に直すと12354
となります。
仕様を参照して説明すると:
'あ'
は文字リテラルです。これはJavaではchar
型になります(3.10.4. Character Literals)。
char
からint
の型変換はwidening primitive conversions(5.1.2. Widening Primitive Conversion)です。
そして、代入時には右辺の式の型を左辺の変数の型に変換する必要があります(5.2. Assignment Contexts)が、ここでは上記のwidening primitive conversionが許容されています。
したがって、
int i = 'あ';
はJavaとして妥当で、前述の5.1.2節の通り精度を保ったままchar
からint
へ変換されます。
Daichi Itokazuさんの回答は、若干正確さを欠いています。
このプリミティブ型ではビット数の多い型への代入は言語仕様として、暗黙的に変換されるようになっています。
float
は32ビット、long
は64ビットのプリミティブ型ですが(Primitive Data Types)、float
からlong
はnarrowing変換であり、代入時の変換として許されていません。(明示的なキャストが必要)(浮動小数と整数)。
また、byte
は8ビット、char
は16ビットのプリミティブ型ですが、byte
からchar
の変換はwidening and narrowing primitive conversionであり、これも代入時に許されている変換ではありません(いわゆるsigned
とunsigned
)。
版は少し古いようですが、JLSを和訳されている方がいらっしゃいましたので付記します。
float
->long
変換は、小数値が失われるから自動で変換してくれない、byte
->char
変換は、char
にはマイナス値を入れられないから自動で変換してくれない、ということで直感的に分かるかと思います(そして問題がある代入を行おうとした場合にはコンパイルエラーになります)。
Commented
2018年2月3日 21:07
Javaで以下のようにint型の変数にchar型を代入してもコンパイル・実行できる理由がよくわかりません。
charやintはプリミティブ型と言います。
このプリミティブ型ではビット数の多い型への代入は言語仕様として、暗黙的に変換されるようになっています。 (こちらを参照してください。)
char型のbit数は16, int型のbit数は32となっていますので、 質問にある通りのコードでもコンパイルと実行が可能なわけです。
逆に、int型からchar型へはbit数がすくなるなるので、明示的なキャストが必須になります。
また、なぜ出力がこの値になるのか分かる方いませんでしょうか。
'あ'はUnicodeで10進数の12354に相当します。
文字コードが表示されています。
「あ」の文字コードを10進数で表すと「12345」だからです。