最初にTypedArray.from()
の動作から確認します。詳細な処理内容はECMAScript 2017 仕様書の22.2.2.1 %TypedArray%.fromに記載されています。
TypedArray.from()
は三つの引数を受け取る事ができます。一つはsorurce
、二つ目は省略可能でmapfn
、三つ目は省略可能でthisArg
です。
まず、source
がイテレーター(@@iterator
)を持つかどうか(iterableかどうか)で違います。イテレーターを持つ場合はイテレーターを用いて各要素を取得し、入れていきます。このとき、mapfn
がundefined
以外が渡されている場合はthisArg
をthis
としてmapfn
で変換した要素をいれることになります。(step 6.)
sourceがイテレーターを持たない場合はarray-likeであることを想定して動作します。0
からsource.length - 1
までの数値プロパティを順番に取得し、入れていきます。mapfn
がundefined
以外が渡されている場合の処理もイテレーターと同様に行います。(step
7.以降)
次にnew TypedArray(object)
の動作です。詳細な処理内容はECMAScript 2017 仕様書の22.2.4.4 TypedArray ( object )に記載されています。
こちらもまず、object
がイテレーターを持つかどうかになります。イテレーターを持つ場合はmapfn
による変換の部分を除きTypedArray.from(object)
とした場合とほぼ同じ動作になります。(step 6.)
イテレーターを持たない場合もarray-likeと想定してどうすることになり、TypedArray.from(object)
とほぼ同じ動作になります。(step 7.以降)
以上を踏まえ、Q1.の回答は第一引数のみ指定したTypedArray.from()
とほぼ同じとなります。ただ注意すべき違いがあります。
new TypedArray(object)
は引数がObject型で、かつ、[[TypedArrayName]]
や[[ArrayBufferData]]
を内部に持たない場合の処理です。数値や、他のTypedArray、Bufferの場合は呼び出される処理が異なります。
new TypedArray(object)
では変換のための第二引数以降をあたえることはできません。
TypedArray.from
は内部で、new TypedArray(length)
という形でコンストラクタ呼び出しを行って、TypeArrayオブジェクトを作成してからその中に要素を入れています。対して、new TypedArray(object)
はコンストラクタによるオブジェクト作成そのものになり、各要素を入れ終わらないとオブジェクトの作成が完了しません。
特にArray.from
がnew TypedArray(object)
を呼び出しているわけでも、その逆でも無い事に注意してください。あくまで、iterableやarray-likeに対する処理の仕方が同じであると言うだけで、オブジェクトが作られる工程は独立して存在します。
しかし、new TypedArray(object)
はTypedArray.from()
同様iterableもarray-likeも扱えることには変わりありません。よって、Q2.の回答は両方です。iterableであればiterableとして処理し、それ以外はarray-likeとなります。ただし、array-likeは想定であり、length
プロパティなどが正しく設定されていない場合はエラーや予期せぬ動作になります。