jsのクラス的な部分はあまり理解できてなくても使えてしまうので、今回はそのあたりも含めて基礎的な内容を説明してみます。内容は最新のリリース(v.3.2.1)に基づきますので、もしかしたら過去/未来のバージョンではちがうかもしれません。
jQuery
オブジェクトjQuery
はjQuery.jsからエクスポートされたjQueryライブラリ本体で、具体的にはFunctionオブジェクトです。
// $はjQueryのaliasです
console.assert(window.$ === window.jQuery);
// jQueryは関数オブジェクトです
console.assert(jQuery instanceof Function);
一般にjsにおいてクラスベース言語のような「クラス」を実装するため、Functionオブジェクトの関数それ自身をコンストラクタ関数に、またそのprototypeオブジェクトにプロパティやメソッドを実装する方法があります。jQueryのprototypeは関数オブジェクトjQueryのプロパティfnと同一のオブジェクトですので、よくあるjQueryの拡張プラグインではこのjQuery.fnオブジェクトに独自の関数を実装したりしますね。
console.assert(jQuery.prototype === jQuery.fn);
jQueryオブジェクト
一般にjsにおける「なんとかオブジェクト」というのは、クラスベースでいう「なんとか(クラス名)のインスタンス」に相当します。具体的には、そのオブジェクトがあるprototypeオブジェクトをプロトタイプにもつことを指します。「jQueryオブジェクト」というのはすなわちjQueryのprototypeをプロトタイプにもつオブジェクトです。かんたんに言えば、クラスjQueryのインスタンスのようなものです。
// 適当なjQueryオブジェクト
const $jQo = $(window);
// jQueryオブジェクトはjQueryクラスのインスタンスのようなものです
console.assert($jQo instanceof jQuery);
// jQueryのprototypeをプロトタイプ(__proto__)に持ちます
console.assert(Object.getPrototypeOf($jQo) === jQuery.prototype);
// インスタンスのメソッドは、jQuery.prototypeに由来します
console.assert($jQo.addClass === jQuery.prototype.addClass);
このように、「jQueryオブジェクト」のインスタンスメソッド/プロパティは、jQuery.prototypeから継承されたものです。クラスベース言語との比較でいえば、静的でないメソッド/プロパティにあたります。
jQueryの静的メソッド/プロパティ
他方、クラスベース言語でいうstaticなメソッドに該当するものも、jQueryには定義されています。具体的には関数オブジェクトjQueryのプロパティとして定義されているものがこれにあたります。たとえば、jQuery.getJSONです。また、プロパティについても同様に静的なものがあります。たとえば、jQuery.cssHooksです。これらについてはクラスベース言語でいうstaticなものと同様に考えてまったく問題ありません。
// 静的なメソッドとして、関数オブジェクトjQueryに直接定義されています
//(prototypeに実装されているわけではない)
console.assert('getJSON' in jQuery);
console.assert(jQuery.getJSON instanceof Function);
// 静的なプロパティ
console.assert('cssHooks' in jQuery);
基本的にこちらはutilityやjQueryの共通な設定に用いられ、やはりstaticな実装をされている意味が理解されます。
以上、不明な点があればコメントでお知らせください。