x86 ばかり話題になっているので違う CPU のアセンブラの話を挙げてみます。
0 や小さい即値というのは良く使うので各メーカーは独自の最適化をいろいろ行っています。
1. aarch64
(ARM64bit) では XZR
WZR
レジスタというのがあります。
- XZR
の値を読むと常に 0
- XZR
に値を書くと捨てられる
なので 0 を作るのに命令は必要ありません。 MIPS CPU なども類似の構造です。
2.短いビット数の即値を短い命令で表現できるように工夫している CPU は多いです。
例:
SH
では 8bit immediate (-128~+127) を 16bit 命令の中に格納できます。
E100 MOV #0, R1
もっと大きい即値を使いたいなら他の形式の命令が必要で、クロック数が増えるなど考察しなければならない事項が一気に増えたりします。
RX
では 4bit immediate (0~15) を 16bit 命令の中に格納できたり
8bit immediate (-128~+127) を 24bit 命令の中に格納できたりします。
もっと大きい即値に対してはもっと長い命令を生成します。
6601 MOV.L #0, R1
754110 MOV.L #16, R1
FB12FFFFFF7F MOV.L #2147483647, R1
命令がフェッチできていれば上記3つの命令の実行速度は同じだったりします。
3.統計的に使用頻度の高い命令に短いビットを、頻度の低い命令に長いビットを割り振ります。
減算 SUB
と排他的論理和 XOR
では前者の方が使用頻度が高いことが知られています。
同一レジスタの SUB
でも 0 を得ることが可能なわけですが
RX
では
6601 MOV.L #0, R1
4311 SUB R1, R1
FC3711 XOR R1, R1
のように XOR
には長い命令が振られています(実行速度は3命令とも同じ)。
H8
でも同様
7A0100000000 MOV.L #0, ER1
01F06511 XOR.L ER1, ER1
1A91 SUB.L ER1, ER1
実行速度は SUB
が最速です。
そしてコンパイラはこの程度のことは熟知していますので、既に皆様の書かれているとおり
- ソースコードは人間が見るものなのだから、理解しやすい素直なコードを書くべし
- 素直なソースコードはコンパイラにとっても最適化しやすい
- 最適化などという小細工はコンパイラに任せてしまえ
です(そこがボトルネックでない限り)。