当該サービスは動画プレイヤーの実体として<video>
要素を使用していますので、この要素に対応するDOMを何らかの形で取得できれば、volumeプロパティから音量の取得/設定が可能です。ただし、この方法ではアプリの音量バーに値が反映されないため、コード後半では疑似的に音量バーのイベントを発火させることで再描画させています。デバッガを使って処理を追うとわかりますが、ここから呼ばれる処理で実際に音量をセットしているようなので、安全性を考慮してコードでは直接volumeプロパティはいじっていません。
マウスのホイールに関してはwheelイベントのイベントオブジェクトのdeltaYプロパティあたりから移動方向が取得できますので、この値から判定して動作を分岐してみました。
結論としてはつぎのようなコードです。
// ==UserScript==
// @name nicovideo.jp; mouse wheel volume
// @namespace http://ja.stackoverflow.com/questions/33435/
// @include http://www.nicovideo.jp/watch/*
// @version 2
// @grant none
// ==/UserScript==
const volumeStep = 0.05;
window.addEventListener('wheel', e => {
// if delta is not zero and some mouse button is pressed
if (e.deltaY == 0 || !e.buttons) {
return;
}
// get elements
const $XSlider = document.querySelector('.VolumeBar > .XSlider');
const $container = document.querySelector('.PlayerContainer');
const $video = document.querySelector('#MainVideoPlayer > video');
// prevet scroll
e.preventDefault();
let volume;
// scroll down; volume down
if (e.deltaY > 0) {
volume = Math.max(0, $video.volume - volumeStep);
}
// scroll up; volume up
else {
volume = Math.min(1, $video.volume + volumeStep);
}
// refresh volume bar
const clientX = volume * $XSlider.offsetWidth + $XSlider.getBoundingClientRect().left;
$XSlider.dispatchEvent(new MouseEvent('mousedown', { clientX: clientX, bubbles: true }));
$XSlider.dispatchEvent(new MouseEvent('mousemove', { clientX: clientX, bubbles: true }));
document.dispatchEvent(new MouseEvent('mouseup', { clientX: clientX, bubbles: true }));
});
動作はfirefox 52.0.1で確認しました。ただしアプリの実装が変更されれば動かなくなりますので、日ごろから確認する必要があります。
volumeプロパティに値をセットすることで音量調節自体は完了ですから、私ならばここでやめてしまいます(手抜き)。ですがしっかり実装するとなると、実際にユーザーが行う音量調節動作(マウスによる音量バーの操作)をエミュレートするのがもっとも簡単なアプローチとなります。なぜかというと、jsアプリケーションの多くは実際の参照構造をクロージャにして外部に出していない(グローバル変数からたどってアクセスできないスコープに格納している)ため、質問にあるような部分のコードを直接呼び出すすることはまずできないからです。
さてそのコードですが、こまかい部分を読み飛ばせば旧来実装されてきたドラッグ&ドロップを任意の要素で実装するテクニックです(ネイティブ実装されたAPIを使っていないのは互換性のためでしょう)。この実装の中身は、
- 動かす対象要素のmousedownイベントを受けてドラッグ開始フラグを設定
- (フラグが設定されているとき、)グローバルなmousemoveイベントを受けて対象要素の位置を更新
- (フラグが設定されているとき、)グローバルなmouseupイベントを受けてドロップ;対象要素の位置を確定、フラグ解除
という流れです。1,3のイベントを疑似的に発生させれば、当該部分の処理を「呼び出す」ことができるわけです。javascriptでは任意のEventTargetに対して任意のEvent基底のオブジェクトを渡してイベントを発火させるEventTarget.dispatchEventというAPIがありますので、これを使います。
音量の計算はそれぞれのイベントハンドラに渡されたカーソル位置を用いて_getRatioFromEventでやっていると推測されるので、この計算を逆算してイベントオブジェクトの値を設定しています。
ここに至るまでに必要な知識としては、基本的にクロージャにあるようなアプリケーションの内部コードは呼び出せないこと、そのため実装されているイベントの動作の理解、イベントをエミュレーションするための方法、残りはどういうプロパティがあるのかといった知識(これはドキュメントを見ればすぐわかりますが)、などになると思います。
ここまで参考になれば幸いです。どうしてそうなるのかわからない、という点があればコメントでお知らせください。
<video>
要素なので直接volume
プロパティを操作することが可能です;document.querySelector('#MainVideoPlayer > video').volume = value;