UITextField
クラスの実装が、どうなっているか見ることができないので、Delegateの理解がむずかしくなっています。そこで、必要最小限の自作Delegateを作って、その構造を見てみましょう。クラスSample
がDelegateの移譲元、クラスFoo
が移譲先です。
class Sample {
var value: Int
weak var delegate: SampleDelegate?
init() {
value = 0
}
func actionAnyThing() {
// Send Delegate
if let delegate = delegate {
delegate.sampleDidAnything(object: self)
}
}
}
protocol SampleDelegate: class {
func sampleDidAnything(object: Sample)
}
extension SampleDelegate {
func sampleDidAnyThing(object: Sample) {
print("Delegate not declared")
}
}
class Foo: SampleDelegate {
// Delegate Method
func sampleDidAnything(object: Sample) {
print("Foo said \"Sample value = \(object.value)\"")
}
}
let sample = Sample()
sample.value = 100
let foo = Foo()
sample.delegate = foo
sample.actionAnyThing()
// 出力:Foo said "Sample value = 100"
わざわざDelegateという名前がついているのだから、さぞ複雑なメカニズムと思われるでしょうが、実態は、ただほかのインスタンスを参照して、そのメソッドを呼んでいるだけです。Delegateの意味は、移譲元のクラスの具体的な実装がわからなくても、プロトコルの宣言を調べることで、どういうメソッドが移譲元から送られるのかがわかることです。
UITextField
クラスについてみると、その実装に、リターンキーが押された時の処理をするメソッドが定義されており、その定義の中で、DelegateメソッドtextFieldShouldReturn(textField:)
を呼んでいることが推理できます。
回答と関係ない部分の説明を少し。
Delegateのメソッドを、プロトコルで宣言するのは、ご存知のとおりですが、エクステンションextension SampleDelegate
はなにをしているのかというと、Delegateメソッドを実装するインスタンスが存在しないときに、備えているのです。エクステンションがないと、プロトコルSampleDelegate
を準拠したクラスは、かならずそのメソッドを定義しなければいけない文法になっているのですが、実際は、定義するメソッド、定義する必要のないメソッドが出てくるので、定義しないことを許容するために、エクステンションが用意されます。