簡単なToDoリストを作ろうと思い、チェックボックスと、その横にあるTextfieldまでは作れました。
しかし、Textfieldで改行をしたら新しいチェックボックスが現れる(Evernoteのチェックボックス機能のようなものです)ようにしたいのですが、それができません。一体どうすればいいのでしょうか。
1 件の回答
Delegateはなにかをお話しする前に、Delegateはなにに使われるか、どういう目的で使われるかという話をします。
●イベント駆動型プログラムiOSは、種々のイベントを引き金(トリガー)にして、処理を開始する、イベント駆動型をとっています。ユーザが画面をタップする、キーボードで入力する、デバイス本体を傾けるという、ユーザが起こすイベント。アプリが、他のアプリの裏側に回ったとか、表に出てきたという、状態の変化を示すイベント。GPSから、位置情報の変更をイベントとすることもありますし、ネットワーク経由で、サーバの応答をイベントとして受け取ることもあります。(イベント駆動型プログラム)
イベント発生から、処理を開始する仕組みは、いくつかの種類を、iOSは用意しています。
Action-Targetパラダイム
XcodeのStoryboardで、ボタンを、ソースコード上のメソッドにConnect(接続)する作業を、なさったことがあると思います。画面操作のユーザイベントを受け取るUIControl
オブジェクトがあり、指定された対象(Target)が持つメソッド(Action)を呼ぶ仕組みを、Action-Targetパラダイムといいます。
UITextField
は、UIControl
のサブクラスであり、ユーザのイベントを受け取るようになっています。Structure UIControlEventsに、UIControl
が受け取るイベントの種類が一覧になっていますが、editingDidBegin
やeditingDidEnd
のように、UITextField
専用のイベントもあります。
Notification(通知)
Action-Targetパラダイムは、基本1対1の関係でしたが、1対多でメソッドを呼び出す、Notificationというシステムがあります。詳しい説明はしませんが、使えるようになると、役立つシステムです。UITextField
にも、UITextFieldTextDidBeginEditing
、UITextFieldTextDidChange
、UITextFieldTextDidEndEditing
、3つのNotificationがあります。
ほかに、Gesture Recognizerがありますが割愛して、つぎにDelegateを取り上げます。
●Delegate(委譲)
ウィキペディアの委譲にあるように、Delegateは、イベント駆動専用で使われる手法ではありませんが、iOSではイベント駆動で呼び出すメソッドとして、多用されます。XcodeでiOSのプロジェクトを作成すると、かならずAppDelegate
クラスができますが、これはUIApplication
のDelegateを集めたクラスになっています。
UIKitのリファレンス上では、Delegateはプロトコルにまとめられていますから、UITextField
のDelegateは、UITextFieldDelegate
で調べることができます。じっさいに調べてみると、textFieldShouldReturn(_:)
というDelegateメソッドがあり、その名からテキストフィールド入力中に、リターンキーをタップした時に、呼ばれるメソッドではないかと想像されます。そして、そのとおり呼ばれます。
●Delegateメソッドの実装
Delegateメソッドの具体的な実装の仕方を説明します。
まず、委譲元にしたいオブジェクト(クラス)が、本当に委譲できるのか確認します。確認の仕方はかんたんで、クラスリファレンスを調べ、delegate
プロパティがあれば、委譲ができます。UITextField
クラスにもdelegate
プロパティがあるので、委譲できます。
委譲先のオブジェクトを指定します。さきのdelegate
プロパティに、委譲先のオブジェクトを代入します。
class ViewController: UIViewController {
@IBOutlet weak var textField: UITextField!
override func viewDidLoad() {
super.viewDidLoad()
textField.delegate = self // View Controller自身を、委譲先とする。
}
}
この記述は、Storyboard上の編集としても行えます。Text FieldからView Controllerに接続して、表示されたプルダウンメニューから選択します。
つぎに、委譲先オブジェクトに、Delegateメソッドを定義します。
クラス宣言に、プロトコル名UITextFieldDelegate
を追加します。
class ViewController: UIViewController, UITextFieldDelegate {
忘れやすいので、気をつけてください。
Delegateメソッドには、Required(必須)と、Optional(オプション)の2種類があり、Requiredは、その名のとおり、かならず実装しなければいけません。UITextFieldDelegate
のメソッドは、すべてOptionalで、実装したいものだけ定義します。詳しくは、各Delegateプロトコルのリファレンスに書かれていますから、使用時、熟読することをお勧めします。
func textFieldShouldReturn(_ textField: UITextField) -> Bool {
print("Return key was pressed.")
textField.resignFirstResponder()
return true
}
iOSシミュレータで実行してみて、Text Fieldにテキスト入力後、リターンキーを押して、上のメソッドが実行されることを、確認してください。ちなみに、resignFirstResponder()
メソッドは、キーボードを非表示にする役目があります。そして、textFieldShouldReturn(_:)
メソッドは、Bool
型の返り値を持っていることに注意してください。true
を返さないと、リターンキーのプレスがキャンセルになります。
●まとめ
- Delegateは、イベント発生を受けて、メソッドを実行する手法として、使われることが多い。
- Delegateメソッドは、プロトコルとしてまとめられている。
- Delegateメソッドには、RequiredとOptionalがある。
UITextField
のDelegateの話をしますし、ご存知でなければ、そもDelegateは何かという話をします。