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セキュリティと監査証跡の目的で自動的に操作ログを残すにはどうしたらよいでしょうか。
ユーザが気が付かないうちにひっそりとログを取るのが理想です。
ログに残したい情報は次の通りです。

  • ユーザ名
  • ユーザが入力したコマンドライン
  • 端末への出力
  • タイムスタンプ

5 件の回答 5

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プロセスアカウンティング用に広く利用できる物として "Process Accounting Utility" があります。環境によって、パッケージの名前が、 psacct もしくは acct になっているものです。

$ # インストール (ubuntu)
$ apt-get install acct

用意されているコマンド

  • lastcomm: 実行されたコマンドの表示
  • ac : ユーザの接続時間の表示
  • sa: 過去に実行されたコマンドの集計/フィルタ

※ 質問の要件を満たすために、一般ユーザーからはこれらのコマンドが実行できないようにしてください。

アカウンティングサービスの実行

$ # サービスの開始
$ /etc/init.d/acct start

$ # サービスの停止
$ /etc/init.d/acct stop

実際は、accton コマンドによってプロセス監視が始められます。収集情報の格納先は、デフォルトで /var/log/account/pacct または /var/account/pacct になります。

過去に実行されたコマンド情報を知る

lastcomm コマンドを利用します。

$ lastcomm higon

byobu-status      F    higon    __         0.00 secs Wed Jan  7 03:23
sed                    higon    __         0.00 secs Wed Jan  7 03:23
sudo             S     root     pts/18     0.03 secs Wed Jan  7 03:21
apt-get          S     root     pts/18     1.85 secs Wed Jan  7 03:23
dpkg                   root     pts/18     0.00 secs Wed Jan  7 03:23
dpkg                   root     pts/18     0.00 secs Wed Jan  7 03:23
dpkg                   root     pts/18     0.00 secs Wed Jan  7 03:23
apt-get           F    root     pts/18     0.00 secs Wed Jan  7 03:23
sh                     root     pts/18     0.00 secs Wed Jan  7 03:23
touch                  root     pts/18     0.00 secs Wed Jan  7 03:23
...

※ 終了したコマンドのみ記録されています。実行中のコマンドは取れません。

以下のように、絞り込みやグループ化のオプションが用意されています。

特定の接続の履歴を知る:

$ lastcomm --tty pts/18

特定のコマンドの実行を知る:

$ lastcomm --strict-match --command vi

ユーザの接続時間の表示

ユーザ毎日付毎の接続時間:

$ ac -d -p

サマライズ

ユーザ毎に履歴を表示:

$ sa --print-users

ユーザ毎にサマライズを表示:

$ sa --user-summary

出力例:

   9000    3794.72re       0.09cp         0avio      2914k
      23      94.46re       0.05cp         0avio      3516k   ***other*
      11       0.35re       0.01cp         0avio      2890k   lastcomm
       2       0.01re       0.01cp         0avio     18432k   command-not-fou
       2    3699.26re       0.00cp         0avio     54160k   apache2*
       2       0.00re       0.00cp         0avio      8518k   lsb_release
       4       0.01re       0.00cp         0avio      5465k   dpkg
       2       0.01re       0.00cp         0avio      4092k   grep
       3       0.00re       0.00cp         0avio     33328k   php5
    1108       0.34re       0.00cp         0avio      1111k   sh
    1104       0.00re       0.00cp         0avio      3950k   tmux
    1104       0.00re       0.00cp         0avio      4618k   sed
       2       0.00re       0.00cp         0avio      4282k   sadc

各カラムの説明は man sa に任せます。

logrotate の設定

環境によってはパッケージ導入時に logrotate.d 以下に設定ファイルがおかれます。 Ubuntu だと以下のようなファイルで良いでしょう。(ログは圧縮されています。 過去ログを sa -f オプションで指定するときには、展開したデータを渡す必要があります。)

/var/log/account/pacct {
    compress
    delaycompress
    notifempty
    daily
    rotate 31

    rotate 31
    create 0600 root root
    missingok
    postrotate
        /etc/init.d/acct restart
    endscript
}

以上です。使用にあたっては、監視の粒度に注意したいところです。acct は、大量にコマンド実行履歴を集めますが、コマンドの引数は見ません。ディレクトリ監視、ネットワーク監視、負荷監視などとあわせることで、より細かなことがわかるようになるでしょう。

最初から細かな記録を取りたい場合は、プロセス監視デーモンとして、 auditd があります。こちらは Linux カーネルのシステムコールレベルで環境を記録するもので、事細かなシステムのログを取ります。コマンドの引数なども記録するのですが、漏れのない徹底的な監視環境を目指していない限り、 acct の利用が適切かと思います。

参考:

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  • 引数と端末への出力が取れないのが残念ですが、統計が分かりやすくて非常に有用ですね。CentOSだと psacct でした。ありがとうございます。
    – take88
    2015年1月7日 11:10
  • コマンドだけを記録していく方法がスマートかなと思ったのですが、セキュリティを視野に入れると、ユーザ打ちこんだコマンドだけを追っていくのは問題がありますので、「プロセス監視」の方に倒してしまいました。有用なツールは内部でコマンドを繰り返し呼ぶ物もありますから、結構ログの量が馬鹿になりません。トレードオフがありますね。。。 2015年1月7日 15:00
7

ログインシェルをttyrecなどでラップしたシェルにすれば取れます(取っていました)。

1
  • ttyrecというものを初めて知りました。ユーザ名は記録されない点は条件を満たないようですが、別の手段でログに残せば問題ありませんね。どうもありがとうございました。
    – take88
    2015年1月20日 14:08
7

Bash限定になりますが、端末への出力以外は全て実現可能です。

ref: http://tiswww.case.edu/php/chet/bash/NEWS

l. There is a new configuration option (in config-top.h) that forces bash to forward all history entries to syslog.

  • UID(ユーザ名)
  • ユーザが入力したコマンド
  • タイムスタンプ

詳細はこちらに記載がありますので参照下さい。

http://d.hatena.ne.jp/tatac1/20120724/1343106093

ログを残す際には、ホストの時刻同期、操作される端末と別のホストにSyslogを転送する、更にLDAP等でユーザーを管理すると更にベターです。

追記: ひっそりとログを取る事を考えるのであれば、syslogデータの表示(通常はrootのみ読み取り可能)、bashのバイナリ解析、ptrace等で確認しない限り気付かれにくいと思います。

1
  • Syslogで管理できるのは便利で良いですね。残念ながら今Bashのソースがダウンロー出来ないので、試してませんが、ぜひチャレンジしたいと思います。ありがとうございます。
    – take88
    2015年1月7日 11:46
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Linux OS には LD_PRELOAD という環境変数が用意されています。この変数に shared object を指定すると、コマンド(dynamic linkされたもののみ)の実行開始時に dynamic link されます。そして、その shared object 内にある function を呼び出して実行することが可能になります。
この機能を利用して、例えば libc.so 内にある system call execve(2) を intecept する事が可能になります。
この execve(2) は bash などのシェルプログラムなどがユーザから入力されたコマンドを実行する際に使われます。そのため、LD_PRELOAD を使って「ユーザが入力したコマンドライン」を記録することが可能になります。
以下は至極単純なサンプルコードです(配列のサイズなどはいい加減です)。ユーザ名などは stderr へ出力していますが、syslog(3) などを使用して syslog へ出力した方が良いでしょう。

hook_execve.c

#include <dlfcn.h>
#include <stdio.h>
#include <unistd.h>
#include <string.h>
#include <sys/types.h>
#include <pwd.h>
#include <time.h>

static int (*_execve)(const char *filename, char *const argv[], char *const envp[]);

int execve(const char *filename, char *const argv[], char *const envp[]) {
  // Save original execve() function
  _execve = (int(*)(const char *, char *[], char *[]))dlsym(RTLD_NEXT, "execve");

  // Get user name
  struct passwd *pw = getpwuid(getuid());
  char *username = pw ? pw->pw_name : "";

  // Construct command line string
  int i = 0; int len = 0; char cmdline[256];
  while(argv[i]){
    strncpy(cmdline + len, argv[i], strlen(argv[i]));
    len += strlen(argv[i++]);
    strcpy(cmdline + (len++), " ");
  }

  // Time stamp
  char t_string[21];
  time_t now = time(NULL);
  strftime(t_string, 20, "%F %T", localtime(&now));

  // Logging
  fprintf(stderr, "%s: username = %s, command line = %s\n", t_string, username, cmdline);

  // Call original execve()
  return (*_execve)(filename, argv, envp);
}

コンパイルを行って shared object を作成します。

$ gcc -D_GNU_SOURCE -shared hook_execve.c -o hook_execve.so -ldl

LD_PRELOAD 環境変数に hook_execve.so を指定して bash を実行します。

$ LD_PRELOAD=./hook_execve.so bash -l
$ ldd /bin/bash
linux-gate.so.1 =>  (0xb7777000)
./hook_execve.so (0xb7772000)

$ ls
2015-01-07 04:37:38: username = nemo, command line = ls -FC --show-control-chars 
hook_execve.c  hook_execve.so*

$ wget http://www.faridani.me/data/Galton.csv
2015-01-07 04:39:02: username = nemo, command line = wget http://www.faridani.me/data/Galton.csv 
--2015-01-07 04:39:02--  http://www.faridani.me/data/Galton.csv

期待通りに動作していますね。後は、例えば Ubuntu Linux であれば /etc/environment に LD_PRELOAD の設定を追加しておくことになるでしょう。
しかし、この方法には多くの問題点があります。

  • ユーザが LD_PRELOAD 環境変数をリセットした場合には動作しない
  • ユーザが static link されたシェルプログラムを使っている場合には動作しない
  • 一般ユーザだけでなく、root を含む全ユーザで実行されるので記録が膨大な量になる可能性が高い
  • execve(2) が call される度に記録処理が実行されるのでシステムの負荷が高くなりやすい

したがって、実運用のシステムで使うのはほぼ無理、でしょうね。まぁ、参考程度に見ておいて下さい。

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    ご回答通りの動作を確認しました。問題点も多く簡単に無効化出来てしまうのが今回の用途では合わないので残念です。ただシステムコールをラップするのは他の用途で使えそうです。ありがとうございます。
    – take88
    2015年1月7日 12:11
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scriptというのもあります。
http://dev.classmethod.jp/operation/logging_operation_using_script_and_psacct/

要件を満たせるか確認してないですが、割りとサクッと使えるので検討してみるのも良いかと。

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