std::unique_ptr<int> pInt {new int{1}}; // (1)
と
std::unique_ptr<int> pInt {std::make_unique<int>(1)}; // (2)
の大きな違いは、unique_ptr<int>
のインスタンスを作るのに、(1) では new int{1}
が呼ばれてから、unique_ptr<int>
のコンストラクタが呼ばれるという風に、2段階で処理が行われるのに対し、(2) では、std::make_unique<int>(1)
を呼ぶだけで作られるということです。
例えば
class A;
void f(std::unique_ptr<A> p1, std::unique_ptr<A> p2);
という関数があったときに、
f(std::unique_ptr<A>{new A{0}}, std::unique_ptr<A>{new A{1}}); // (3)
と呼び出したとします。ここで生成された二つの A のインスタンスは、unique_ptr
になるので、きちんと解放されるように見えます。しかし、実は解放されないケースがありうるのです。
C++ では、関数の引数の評価の順番は未規定です。(3) の場合だと
new A{0}
new A{1}
- 1 で生成した A のインスタンスを用いて、一番目の
std::unique_ptr<A>
を生成
- 2 で生成した A のインスタンスを用いて、二番目の
std::unique_ptr<A>
を生成
f()
の呼び出し
という順番で評価しても構わないのです。このとき 2. で A のコンストラクタが例外を投げると、1. で生成された A のインスタンスは、まだunique_ptr になっていないので、リークしてしまいます。
ここで std::make_unique
を使えば、
f(std::make_unique<A>(0), std::make_unique<A>(1)); // (4)
std::make_unique<A>(0)
で一番目の unique_ptr<A>
を生成
std::make_unique<A>(1)
で二番目の unique_ptr<A>
を生成
f()
の呼び出し
となり、new A{1}
が例外を発生する物であっても、メモリリークを起こすことがありません。