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ssh の先に C-. に対して、自分で定義したコード(?)を送れる端末エミュレータがほしい の質問を作成する過程でわかったことなのですが、端末エミュレーターでは C-. をコードとして送付できませんでした。

継続して端末エミュレーター上の挙動を見ていたところ、今度は Shift + 矢印 がただの矢印として対象 OS に送られている様子でした。

こういった、端末に関して出くわす問題(GUI版 emacs と比較して)は、おそらく「端末上で動かす emacs」を取り扱っている限りは、いくらでも発生するだろうな、と考えています。それだったら、その仕様がどうなっているかについての資料(規格?)をあたってから、個別の特異な動作について対処を行ったほうがいいかなと考えています。

質問:

  • 一般的な端末エミュレーターの動作について、その仕様を記述した資料などはありますでしょうか。
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    ひと昔前のUnixならVT100がデファクトスタンダードとして広く使われていました。なのでこのマニュアルを読むと良いと思います。ウィキペディアにECMA-48規格のリンクもありました。 2016年2月12日 6:23
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    あとはterminfo / termcapで端末の規格・能力の差異を吸収しているのでこここから当たるのも手かもしれません。infocmpを実行すると現在の端末の記述が得られます。 2016年2月12日 6:36
  • @KenjiNoguchi ECMA-48 規格をまず試しにざっと読んでみましたが、This Standard does not deal with the input component. と書いてあってちょっと悲しい気分になりました。
    – Yuki Inoue
    2016年2月12日 16:55

2 件の回答 2

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回答になっているかわかりませんが、VT100のシフトキー、コントロールキーの挙動がわかったのでおしらせします。

VT100テクニカルマニュアルの4-43 (PDFのページで93)に次のような記述を見つけました。昔のキーボードは縦横に張られたグリッドの交差点にあるスイッチのON/OFFをスキャンして、そこで得られたコードを使ってROMにある表を参照し、ASCIIに変換していたそうです。コントロールキーが押されている場合はさらに別の表を参照して、そのASCIIがコントロールとして有効であれば7bit ASCIIの上位2bitを0にして送信というわけでした。

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もし有効性を確認するステップがなければ、次のASCII表を見ればわかる通り、Ctrl-NもCtrl-nもCtrl-.も同じコードを送信するはずです。ただそれだと混乱を招くのは明白なので、Ctrl-NとCtrl-nだけ有効にしたのでしょう。そしてどちらも同じSOを送信するはずです。

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Unix端末に表示される一見ランダムに見える記号たち(^[がエスケープとか^Mが改行とか)も7bitの上位2bitをマスクした結果だったわけで、根拠がはっきりしました。

このマニュアルには、この他にもPrint Screen, Scroll lock, Pause/Breakなど普段使うことのないキーの本来の目的が書かれていて興味深かったです。

追加調査

emacsではCtrl-/でUndoができますが、同行のCtrl-Oは改行を挿入するコマンドです。区別ができるということは単にSIを送っているわけではないはず。このコマンドはVT100の時代から変わっていないと思うので、どのようなシーケンスを送っているのか調査しました。

結果

この回答によるとCtrl-/はC0 and C1 control codesでは定義されていないそうです。VT100ではCtrl-/でUndoできなかったと思われます。先のマニュアルのAppendix 8 (PDF 300ページ)でもCtrl-/に言及はありません。VT102では利用可能です(後述)。

MacのiTerm2でLinuxにログインしてttyとタイプし、現在のTTYを取得した後、sudo cat /dev/pty/XとしてCtrl-/を入力すると^_と表示されたのでCtrl-_にマップされていることがわかりました。Ctrl-oは^Oでそのままでした。ちなみにCtrl-?はDELにマップされているようです。

Mac標準アプリのTerminalではCtrl-/は送出できませんでした。

emacsでCtrl-_とすればUndoできます。むしろこちらがどの環境でも動くという意味で一般的なキーストロークだそうですが101キーボードではシフトを押しながらなので使いづらいです。

VT102

VT100エミュレータは実はVT102のエミュレータであることが多いとの記述があり、VT102について調べたところCtrl-/は037(16進数で1f)が割り当てられていました。よってiTerm2/xtermは独自仕様だったのではなくVT102のエミュレーションということで確定です。詳細はVT102のマニュアルをご覧ください。HTMLなので検索も簡単です。

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  • もちろん、最近のキーボードはこんなに原始的ではないので、CAPS LOCKやCTRLキーは自由にマッピングできますし、Ctrl-NとCtrl-nを区別することももちろん可能です。ただそれをどう送信するかはエミュレータ次第だし、それを受け取る方法も対応しないといけないでしょう。ASCII表は目一杯埋まっているので、おそらく独自のエスケープシーケンスを定義して送出するしかないだろうと思います。最新のLinuxでもTTYだけは8bitの世界に縛られているとは...。 2016年2月13日 2:35
  • xtermでちょっと試したらCtrl-/は0x1fが送られますね。Ctrl-_もそうです。何か特別扱いする規則があるんでしょうか。
    – shirok
    2016年2月13日 3:38
  • ちょっと検索するとctrl slashが問題となっている例は数多くある様子。古い記事ですがPuTTYの改造をしている方もいました。 2016年2月13日 3:53
  • @KenjiNoguchi ROM にある lookup テーブルが、何なのかパッとは分かりませんでしたが、おそらくkey → 真偽値 のようなテーブルなのかなと利用解釈すれば、理解できました。マニュアルの Appendix A (300Pまわり) が、自分の欲しかった「一般的な端末の(元々の)入力仕様」ですね。ありがとうございました。
    – Yuki Inoue
    2016年2月13日 5:05
  • 僕も同じ疑問を持っていました。真偽値でなくて送出するコードを持たせた方が合理的ですよね。後世代機ではそうなっている可能性はあると思います。 2016年2月13日 5:20
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一般的な端末の仕様としてはECMA-48がありますが、キーでどのようなコード/シーケンスを送るかというような事はこれでは定義されていません。
この辺りは各端末の裁量となるので、実際の端末での動作を参考にするしか無いでしょう。

一般的な端末としてはVT100やその後継機が参考とされますが、これは C-. 等が使えませんので、今時の端末としてはxtermを参考にするのがいいでしょう。
xtermでもデフォルトの動作としては C-. 等が使えませんが、modifyCursorKeysやmodifyOtherKeys等の拡張機能を利用すればほぼすべてのキーの組み合わせが利用できますし、通常ならば区別できないC-iとTabの区別も出来るようになります。
バージョンの条件が合えばEmacsでもTERMがxtermの時にはmodifyOtherKeysを利用するようになっていますので、他の端末でもこの動作を参考にするのがいいと思います。

modifyOtherKeys等の動作はxtermのマニュアル1,2に簡単な解説がありますが、これだけでは動作が判りづらいと思うので実際の動作も並行して確認する方がいいと思います。

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