メールボックスのパス名から推測すると、MDA (Mail Delivery Agent。メールボックスへメールメッセージを配送するサービス) として Postfix の virtual
(8) を利用していると見受けられます。以下、その前提で。
Postfix virtual
(8) に設定したメールボックスの場所と、MRA (Mail Retrieval Agent。メーラーに対してメールボックスへのアクセスを提供するサービス) である Dovecot POP3 サーバーに設定したメールボックスの場所が食い違っているためだと思われます。
Dovecot でユーザーのメールボックス形式や場所を調べるには doveadm
(1) を利用します。これで設定を確認しましょう。以下は実行例です。
# doveadm user foobar
field value
user foobar
uid 8
gid 12
home /var/mail/example.ac.jp/foobar
mail maildir:~/Maildir
quota_rule *:bytes=0M
以下のいずれかの対処が必要です。
- Postfix の設定を変更し、MDA として Dovecot の
lmtp
(LMTP サービス) あるいは dovecot-lda
(1) を利用するようにする。(これにより、Dovecot で設定したメールボックスにメールメッセージが配送されるようになる)
- Dovecot の設定を変更し、メールボックスの場所を Postfix の
virtual
(8) に設定した場所に合わせる。
個人的には、前者の「MDA として Dovecot を利用する」ほうがお勧めです。こちらであれば、Postfix 側にメールボックスの場所を設定する必要がありませんし、Dovecot MDA 独自の機能 (quota, sieve など) を利用できるからです。
Postfix で Dovecot LMTP を利用する手順は Wiki に記載があります。
- HowTo/PostfixDovecotLMTP - Dovecot Wiki
以下は Dovecot + LDAP において、ユーザーのメールボックスに関する設定を行なう一例です。ご参考までに。(dovecot.conf
や相当するファイルの設定と組合せる構成もありますが、それには触れません)
Dovecot のユーザーの各種属性を LDAP サーバーのユーザーエントリあるいは dovecot-ldap.conf.ext
(あるいは相当するファイル) で設定しているのであれば、そのファイル中の user_attrs
パラメーターを適宜調整する必要があります。もし userdb { driver=prefetch }
を利用しているなら pass_attrs
パラメーターも要調整。
例えば、すべてのユーザーの UID と GID が mailadmin
、ユーザーエントリの uid
属性がユーザー名を保持している、メールボックスは maildir 形式で場所が /var/vmail/<uid属性の値>/Maildir
であるなら、次のような記述になります。これはあくまで例ですので、ほかにも LDAP ユーザーエントリの属性 → Dovecot ユーザーの属性にマッピングしたい値があるなら、適宜調整してください。
user_attrs = \
=uid=mailadmin, \
=gid=mailadmin, \
uid=mail=maildir:/var/vmail/%$/Maildir
詳細は Dovecot の Wiki をどうぞ。このあたり↓かな?
- AuthDatabase/LDAP/Userdb - Dovecot Wiki
UID / GID の値(数値)によっては、dovecot.conf
で first_valid_uid
、 last_valid_uid
、 first_valid_gid
、 last_valid_gid
パラメーターの値を調整する必要があるかもしれません。適宜調整してください。Dovecot の全ユーザーの UID / GID の名前がどちらも mailadmin
で、その UID 値 / GID 値がどちらも 1000
の場合:
first_valid_uid = 1000
last_valid_uid = 1000
first_valid_gid = 1000
last_valid_gid = 1000