List を返すメソッドにおいて null を返さないことを保証したいと考えています。 実装上は null ではなく Collections.emptyList() を返すだけですが、null を返さないことをアノテーションで表現することは可能でしょうか。
IDE との何らかの連携があるとより良いのですが、自分の観測範囲ではわかりませんでした。
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登録してこのコミュニティに参加するnull
を返さないことを保証するアノーテーションをしたいときには、JSR-305 を導入するのが一番良いです。 (ここではこのアノテーションを 「@NonNull
系」と呼ばせてください)
導入は、 外部 jar としてjsr305-X.X.X.jar をクラスパスに追加する、もしくは Maven なら以下のようにします。
<dependency>
<groupId><code class="findbugs"></code></groupId>
<artifactId>jsr305</artifactId>
<version>3.0.0</version>
</dependency>
そのうえで、メソッドの返り値が null
ではないことを示すためには、ソースコード上で、アノテーションを以下のように付記します。
public @Nonnull static String fold( Iterator<?> iterator) {
...
return nonNullString;
}
@Nonnull
public static String join( Iterator<?> iterator) {
...
return nonNullString;
}
@Nonnull
系のアノテーションは JDK に付属しておらず、どちらかというと JavaEE の一部という扱いです。どれが標準かはっきりせず、 JSR-305 以外にも @Nonnull
系アノーテーションが様々なパッケージに存在しています。
javax.annotation.Nonnull
javax.validation.constraints.NotNull
org.jetbrains.annotations.NotNull
org.eclipse.jdt.annotation.NonNull
android.support.annotation.NonNull
org.checkerframework.checker.nullness.qual.NonNull
これらすべて、アノテート目的は同じで、名前が違うぐらいのものです。プロジェクトの構成によって、上記のクラスのどれかを使うことになるでしょう。
IntelliJ IDEA の null
チェックサポートはおそらく IDE の中でも 一番歴史が古く、かなり高機能なので、 開発環境に高度な null
チェック機能を求めておられるのなら、IDEA は外せません。IDEA は、歴史的な理由で、独自に @NotNull
アノテーションを持ってもいます。 IDE がサポートする機能は javax.annotation.Nonnull
に対するものより、少し広いので、 IDEAをメインに使用する場合 アノテーションに org.jetbrains.annotations.NotNull
を選択するのはアリです。
import org.jetbrains.annotations.NotNull;
...
public @NotNull String fold( Iterator<?> iterator) {
...
return it;
}
他に、 IDEA には、メニューの Analyze > Infer Nullity
と選択することで、自動で @Nullable
, @NotNull
アノテーションをつけてくれる機能があり、便利です。
Eclipse は基本、 javax
及び Eclipse 独自のアノーテーションを認識します。コンパイラの警告/エラーセッティング を変更することで IDE が反応するようになります。機能的には、最低限をそつなくサポートしている感じで、他の @Nonnull
系アノーテーションの導入も容易です。もっと突っ込んだ警告がほしければ、FindBugs を導入すべきでしょう。
Eclipse の面白い点としては、 @NonNullByDefault
というアノーテーションのサポートがあることで、これによりパッケージを対象に、 @NonNull
が付いた状態をデフォルトとするといったことができます。強力すぎて警告の数に最初ヒクと思いますが、徹底した管理を求めたいならこれを使うのも良いと思います。
@NonNullByDefault
は、以下のようにパッケージコメントファイル package-info.java
の中のパッケージ宣言に対して付けられます。(※ クラスが書かれたソースコードではありません!)
/**
* @author XXXXX
*/
@NonNullByDefault
package jp.domain;
import org.eclipse.jdt.annotation.NonNullByDefault;
Netbeans は @Nonnull
系アノーテーションを認識し、ソースコード解析を通して警告を発生することができます。設定ダイアログ Editor > Hint
の、 Null Pointer Dereference
がその警告になります。
不足があれば、 Firebugs をドキュメントに従ってセットアップしていけば、十分な静的解析の環境が整うでしょう。
IDE ではありませんですが、Checker Framework フレームワーク を使っていると、このように書くこともできます。 (Eclipse Pluginもあります)
public /*@NonNull*/ String fold( Iterator<?> iterator) {
...
return it;
}
JDK 1.5 で時が止まっているような古いプロジェクトに、ひっそりと導入することができて、幸せになれる人もいるかもしれません。私はこの書き方好きなんですけどね。
JSR-305のライブラリをプロジェクトに追加して、@javax.annotation.Nonnull
とのアノテーションが下記通り使用できます:
@Nonnull
public List<?> getList() {
// ...
}
JSR-305のライブラリはMaven中央レポジトリからダウンロードできます。
Netbeans、EclipseやIntelliJの最近のバージョンはJSR-305のアノテーションをサポートして、違反警告を出します。