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クロージャーの理解に苦慮しています。
以下にサンプルプログラムを添付します。swiftプログラムです。
動作については理解していますが、関数(func)内の関数で、内部の関数はその外の変数にアクセス可能というクロージャーの理解はしています。疑問点は以下の通りです。

let inc = makeIncrementer(10, 5)

によって、incの定数に"15"が設定されますよね。

inc()   // 15

で、inc()とは何?という疑問があります。またinc()を繰り返す度に5が足されるのか、makeIncrementerのaddValueの値が5を足されると思いますが、var vがなぜ値を保持しているのかも疑問です。

何か理解が間違っていると思いますので、教えていただけないでしょうか?質問を端的に言うとinc()とは何?ということです。

以下、リストを添付します。よろしくお願いします。

func makeIncrementer(initValue: Int, addValue: Int) -> () -> Int {
    var v = initValue
    func incrementer() -> Int {
        v += addValue
        return v
    }

    return incrementer
}

let inc = makeIncrementer(10, 5)
inc()   // 15
inc()   // 20
inc()   // 25
2

inc()は、let incの定数名に、incrementer関数へ渡す引き数()をつけたものです。inc は、incrementerの略だと思われます。

関数は、引き数を渡した時点で returnにあるものを返しますから、makeIncrementer関数内の

return incrementer

では、まだ incrementer関数の引き数は渡していないため、incrementer関数は実行されていません。これは、incrementer関数への参照returnで返している状態です。

let inc = makeIncrementer(10, 5)

では、makeIncrementer関数のパラメータ(initValue: Int, addValue: Int)に適合する引き数(10, 5)を渡していますので、makeIncrementer関数が実行されています。() -> Intという関数型の関数 incrementerへの参照がreturnで返され、定数 incに割り当てられています。定数名を Option+クリックすると、定数 incが関数型となっている様子が確認できます。(Playgroundでは右側でも見れます。)

画像の説明をここに入力

ですが、incrementer関数のパラメータ()に適合する引き数()は渡されていないため、incrementer関数はまだ実行されていません。Int型の15という値は返ってきていません。定数 incは、incrementer関数を参照している状態です。

let incfunc incrementerを参照
func incrementerfunc makeIncrementervar vaddValueを参照

と、let incから makeIncrementer関数のローカル変数/定数まで、参照がつながっています。let incが incrementer関数を参照している限り、var vaddValueも参照され続けるということです。

参照されている間は状態が維持されますから、makeIncrementer関数の実行が終わっても、v変数と addValue定数は存在し続けます。inc定数からの参照の連鎖が、v変数と addValueを繋ぎとめているからです。仮に、

let inc = makeIncrementer(10, 5)()

とここで、incrementer関数の引き数()を渡すと、Intreturnで返されて、関数は実行終了となります。定数 incに、Int型の15が入った状態です。この定数 incと incrementer関数は参照関係にはなりません。

画像の説明をここに入力

参照関係のときに何が起きているかを確かめるために、以下のように、コードの各所にprintを追加してみてはいかがでしょうか。 (Xcode 7、Swift 2で書いています。)

func makeIncrementer(initValue: Int, addValue: Int) -> () -> Int {
    print("makeIncrementer関数の実行")
    print("initValue: \(initValue), addValue: \(addValue)")

    var v = initValue
    print("makeIncrementer内 var v = \(v)")

    func incrementer() -> Int {
        print("incrementer関数の実行")
        print("参照している v = \(v), addValue = \(addValue)")

        v += addValue
        print("incrementer return v = \(v)")
        return v
    }
    return incrementer
}

print("----- let inc 宣言 -----")
let inc = makeIncrementer(10, addValue: 5)

print("----- inc() 1回目 -----")
inc()

print("----- inc() 2回目 -----")
inc()

print("----- inc() 3回目 -----")
inc()

コンソールを見ると、inc()が、makeIncrementer関数は実行しないで、incrementer関数だけを実行している様子が確認できます。inc定数は、makeIncrementer関数ではなく、incrementer関数を直に参照しているからです。

画像の説明をここに入力

inc()を呼び出したときに、新たにinitValue10が代入されて……というような makeIncrementer関数の処理は行われません。よって、v変数に新しい initValue値が代入されることもありません。このincrementer関数が参照しているvは、関数実行終了後も inc定数から続く参照によってそのまま保持され、また新たに別の場所でinc()と書いてincrementer関数を呼び出しても、inc定数から続く参照の連鎖につながっているままの値を使うことになる、という訳です。

定数や変数は、値や参照を保持するのが仕事ですから、定数や変数から参照の連鎖がつながっているローカル変数/定数は結果、保持されることになります。関数は処理を実行するのが仕事ですから、関数のクロージャ内から外の変数/定数への参照は、実行時のみの一時的なものとなります。が、定数や変数がその関数を参照している場合には、定数/変数が参照の連鎖をどこまでもたどって、参照状態とその先にある値を保持してくれるようです。(厳密にシステムがどう働くかという視点で見ると、この説明はちょっと違うと思いますが、今ひとまずのところはこのようなイメージが理解の助けになるのではないでしょうか。詳しいことは、他の方のご回答をご覧いただければと思います。)

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+500

Swift closures and Objective-C blocks are compatible, so you can pass Swift closures to Objective-C methods that expect blocks. Swift closures and functions have the same type, so you can even pass the name of a Swift function.

Closures have similar capture semantics as blocks but differ in one key way: Variables are mutable rather than copied. In other words, the behavior of __block in Objective-C is the default behavior for variables in Swift.

Interacting with Objective-C APIs - Using Swift with Cocoa and Objective-C (Swift 2)

にある通り、Swiftのクロージャは、Objective-Cのblocksと互換性を持つものです。

そちらの実装については公開されている情報が多いため、blocksについて知ることでクロージャについて理解が深まると思います。

両者の動作のの違いとして、Objective-Cにおけるblocksは、自動変数のキャプチャを値のコピーで行っていましたが、Swiftのクロージャでは常に__blockが指定されているものとして扱います。

さて、blocksがどう実装されているかというと、この実体はObjective-Cクラスのインスタンスです(この説明は厳密には正しくないのですが、Swiftにおいてクロージャが参照型に分類されていることから、クラスだと考えた方が楽だと思います)。

変数のキャプチャは、このクラスのインスタンス変数になることを意味します。Swiftでは必ず__block指定子でキャプチャされることは既に述べました。このとき、__blockストレージ型として扱われます。

__block変数は、その変数のレキシカルスコープと、その変数のレキシカルスコープ内で宣言または
作成されたすべてのブロックおよびブロックのコピーとの間で共有されるストレージ内に存在しま
す。したがって、このストレージは、スタックフレーム内で宣言されているブロックのコピーが、フ
レームの終了後も存続する場合は(たとえば、後で実行するために、どこかのキューに入れられてい
る場合)、そのスタックフレームが破棄された後も存続します。特定のレキシカルスコープ内の複数
のブロックが、同時に1つの共有変数を使用できます。

最適化のために、ブロックストレージは、ブロック自身と同様に、スタック上に置かれます。
Block_copyを使用してブロックがコピーされた場合(または、Objective-Cで、そのブロックにcopy
が送信された場合)は、変数はヒープにコピーされます。したがって、__block変数のアドレスは時
間の経過とともに変化する可能性があります。

ブロックプログラミングトピック

要約すると、ローカル変数や関数の引数など、現在の環境(レキシカルスコープ)を、ランタイムが上手く管理することで、共有できるようにしてくれる、ということです。

Objective-Cにおいては、blocksをスタックもしくはヒープのどちらで管理するべきかコンパイラが判断できなかった場合に、必要に応じて明示的にcopyを呼ぶ辛い場面もありましたが、Swiftのクロージャでは意識する必要はありません。

__blockストレージ型のvar vをインスタンス変数に持つ、クロージャincrementerが、incの正体である…、と考えるのが比較的分かりやすいと思います。

  • (質問者ではありませんが) ... var vをインスタンス変数に持つ、クロージャ...、随分と昔からクロージャについてはモヤモヤとした印象を抱いていましたが、スッキリしました。ありがとうございます。 – user9156 15年10月4日 12:34
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let inc = makeIncrementer(10, 5)

によって、incの定数に"15"が設定されますよね。

ちがいます。これによりincが保持するのは関数オブジェクトです。makeIncrementerの定義を見れば分かるようにreturnしているのはIntではなくincrementerという関数です。この時点では、関数オブジェクトが作られただけで、まだ実行されていません。

このようにして作られた関数オブジェクトはその後の

inc()

で始めて実際に実行されます。

incrementerの中で参照されているvaddValueのスコープは、makeIncrementerローカルです。本来はincrementerを抜けた時点で消滅するのですが、クロージャであるincrementervaddValueを参照し続けているため、スコープを抜けても残ったままになります。そのため、addValuemakeIncrementerを呼び出したときの5がいつまでも残っていますし、vは実行する度に5ずつ増えていきます。

なお、もう一度makeIncrementerを呼び出したときにまた作られるvaddValueや関数オブジェクトは先ほど作成したものとは別になります。

let inc = makeIncrementer(10, 5)
inc()   // 15
let inc2 = makeIncrementer(3, 1)
inc2()  // 4
inc()   // 20
inc2()  //5
  • 2
    let incで宣言した場合は、関数への参照値は不変なので、定数と考えて良いと思うのですがどうなんでしょう。addValuevarのない引数なので、こちらはローカル「変数」ではないと思います(Swiftにおいて引数はデフォルトでは書き換え禁止=変数ではない)。 – quesera2 15年10月4日 5:11
  • swiftのドキュメントの用語としてはlet incaddValueも定数ですが、コンパイル時に値が決定される識別子を定数、そうでないものを変数と呼ぶ分類の仕方もあるので、そこがかみ合っていないのだと思います。 – h2so5 15年10月4日 6:49
  • swiftに不慣れなので勘違いしてました。後で修正します。 – suzukis 15年10月4日 7:17
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他の方の回答で「何が起きているか」についての説明は十分と思いますが、関連するキーワードが出ていないので補足します。

プログラミング言語の一般的概念として、変数には「スコープ」と「エクステント」という属性があります。「スコープ」はその変数がコードのどの場所から見えるのか、「エクステント」はその変数がいつからいつまで存在するのか、です。

例えばCでは以下の変数がサポートされています:

  • グローバル変数: スコープはプログラム全体。エクステントはプログラム起動から終了まで
  • トップレベルのstatic変数: スコープはファイル内。エクステントはプログラム起動から終了まで
  • 関数内static変数: スコープは関数内。エクステントはプログラム起動から終了まで
  • auto変数: スコープはブロック内。エクステントは変数の定義からブロックを抜けるまで

このうち、最後のauto変数を「ローカル変数」と呼ぶことが多いです。このことから、Cおよびその派生言語では「ローカル変数」というのに「スコープもエクステントもブロック内のみ」というイメージがついてしまっています。

しかし、他の言語、特に関数オブジェクト(第一級関数)を持つ言語では「ローカル変数」は

  • スコープはブロック内。エクステントはそのブロックに入った後からずっと

とすることが多いです。ずっと、というのは意味的にはプログラム終了までずっと存在し続けるということです。現実には、どこからも参照されなくなった時点でGCが回収してくれるのでメモリの心配をする必要はありませんが。

今回の例で言えば、var vのスコープはmakeIncrementerの中、つまりその中に書かれたコードからしか読み書きできないが、makeIncrementerに入るたびに新たなvが作られて、それは(GCで回収されるまで)ずっとメモリ上に残っている(無限エクステント)、ということになります。

Cのauto変数のようにスコープとエクステントをブロックに合わせる方式では、変数はスタックで管理できますが、「ブロックスコープ、無限エクステント」のローカル変数では管理は多少複雑になります。が、そのへんは言語処理系がうまい具合に取り計らってくれるので、性能チューニングをしているのでもなければあまり気にする必要はありません。

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var vがなぜ値を保持しているのかも疑問です。

Swift の開発環境が手元にないので、golang で同じ様なモノを書いてみました。

counter.go

package main

import "fmt"

func newCounter(initValue, addValue int) (func() int, func() int, func()) {
    v := initValue

    inc := func() int {
        v += addValue
        return v
    }

    get := func() int {
        return v
    }

    reset := func() {
        v = initValue
    }

    return inc, get, reset
}

func main() {
    inc, get, reset := newCounter(10, 5)

    fmt.Println(inc())  // => 15
    fmt.Println(inc())  // => 20
    reset()
    fmt.Println(get())  // => 10
}

もっと本来的な書き方があるはずですが、それはさておいて、newCounter 関数内にある変数 v がどの様に扱われているのかを見てみます。

$ go run -gcflags='-m=1' counter.go
           :
./counter.go:6: moved to heap: v     // v := initValue
./counter.go:9: &v escapes to heap   // v += addValue (in inc())
./counter.go:14: &v escapes to heap  // return v (in get())
./counter.go:18: &v escapes to heap  // v = initValue (in reset())

スタック領域ではなくヒープ領域に移動させられていて、そのメモリ領域を inc(), get(), reset() 関数では参照しています。おそらく、swift でも同じ事をしているのではないかと推測します。

# 処理系の中には必要に応じて被参照変数をスタック <-> ヒープ間でコピーしていたりします

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詳解Swift 荻原剛志著

この書籍の、「Chapter12 クロージャ、12.2 変数のキャプチャ」に、説明があります。ひとことで説明すると、クロージャがローカル変数を参照し続けているので、ローカル変数は解放されず、メモリに保持されたままになる、ということだそうです。誤解を与えてはいけないので、詳しくは、この書籍に直接あたってください。

クロージャ(というより、この場合はネスト関数)を解放すれば、ローカル変数も解放されます。

// 解放されるタイミングを調べるため、deinitを実装したクラスを定義する。
class MyClass {
    var lValue: Int = 0

    init(lValue: Int) {
        self.lValue = lValue
    }

    deinit {
        print("Released with \(lValue)") // 解放された時点のlValueの値を出力
    }
}

func makeIncrementer(lValue a: MyClass, rValue b: Int) -> () -> Int {
    var innerValue = a.lValue
    func incrementer() -> Int {
        innerValue += b
        a.lValue = innerValue
        return innerValue
    }
    return incrementer
}

// nilを代入して解放するためにOptional型で宣言する。
var myClass: MyClass! = MyClass(lValue: 20)
// nilを代入して解放するためにOptional型で宣言する。
var innerFunc: (() -> Int)! = makeIncrementer(lValue: myClass, rValue: 10) // 20に10を加算する。
innerFunc() // 30
innerFunc() // 40
myClass = nil // myClassを解放しようとするが、deinitが呼ばれない。
innerFunc() // 50 
innerFunc = nil // 出力:Released with 50
// innerFuncを解放した時点で、myClassが解放されたことがわかる。

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