長くなってしまったので先にまとめます。
通常、標準入出力には端末=コンソールウィンドウを指しているハンドルが使われます。これを
p.StartInfo.RedirectStandardOutput = true;
としたり、コマンドプロンプトで mysql > hoge.txt
とすると、標準出力を端末以外のハンドルに差し換える(リダイレクト)ことになります。
mysql.exe は起動時に「標準入出力が端末を指しているかどうか」を調べているため、上記のようなリダイレクトを行った場合に挙動が変わります。
.NETのProcessクラスで使われているのは CreateProcess
というAPIです。これはあるプロセスが別のプロセスを起動する際に使う一般的なAPIです。
CreateProcess
には lpStartupInfo
という引数があり、STARTUPINFO
という構造体を指定するのですが、この中に標準入出力・エラー出力のファイルハンドルを指定するフィールドがあります。 cmd.exe でも mysql > out.txt
などとしてリダイレクトする場合はこれを使っているはずです。
Processクラスでこれに相当するのが StartInfo
プロパティで、RedirectStandardOutput
等を指定すると内部的に無名パイプ*1が生成され、Process.StandardOutput
がこのパイプを指すようになります。
*1: このパイプとはプロセス間で共有できるトンネルのようなもので、作成すると入口と出口のファイルハンドルが得られます。これは実際のファイルを読み取り専用・書き込み専用で開いたときと同じように扱え、入口に書き込めば出口で読み取ることができます。
では、 cmd.exe から起動し、リダイレクトをしない場合は、どんなファイルハンドルを mysql.exe が受け取るのでしょうか。これはファイルでもなく、パイプでもなく、端末*2を指しています。
*2: 元は端末に限った話ではなく、UNIX系では character device 、Windows(MSDN) では character file などと呼ばれます。
Windowsでコンソールアプリケーションを起動するとコンソールウィンドウが生成されますが、このウィンドウに入出力するためのファイルハンドルも同時に用意されます。これが端末を指すファイルハンドルです。
ファイルハンドルが指すものが端末であるかどうかを識別する方法としては、Cランタイムライブラリの _isatty()
や、ファイルハンドルの種類を調べる GetFileType()
が使えます。
例えば VB.net でコンソールアプリケーションを作り、以下のようなプログラムを書いてみると面白いでしょう。この場合、VB.net側の標準入出力がそのまま使われることになるので・・・。
Sub Main()
Dim p = New Process
p.StartInfo.FileName = "C:\xampp\mysql\bin\mysql.exe"
p.StartInfo.UseShellExecute = False
p.Start()
p.WaitForExit()
End Sub
参考
p.StartInfo.RedirectStandardOutput = True
しているのでリダイレクトである事理解します。今回は逆にcmd.exeはどのようにしてコンソールアプリケーションと情報のやり取りをしているのか知りたく質問した次第であります。