class
やinstance
宣言中に現れるtype
やdata
は Type Families(型族) というGHC拡張で、トップレベルに現れるtype
とは少し異なる機能を提供しています。
型族を有効にするには、pragmaとしてTypeFamilies
を指定します(リンク先のソースコード先頭で宣言されています)。
Cf. https://downloads.haskell.org/~ghc/latest/docs/html/users_guide/type-families.html
型関数
class
宣言とinstance
宣言は普段の型クラス同様に対応しています。
普段、class
宣言で「メソッド、その型、デフォルト実装」が与えられると思います。型族を用いると、言わばその「型レベル版」も宣言できる様になります。それがtype
を用いた型関数の宣言です。
つまりは「型関数、その種(kind)、デフォルト型」が定義できます。
その確認のため、trivialな例を出します:
class Hoge i where
type Fuga i :: * -- 種(kind)の明示
type Fuga i = () -- デフォルト型
piyo :: Fuga i -> Fuga i -- `Fuga i` の使用
piyo = id -- デフォルト実装
instance Hoge Int where
type Fuga Int = Maybe Int
piyo mn = fmap succ mn
instance Hoge Double where
type Fuga Double = [Double]
piyo ls = ls ++ ls
piyo
がメソッドで、Fuga
が型関数です。似た様に宣言できることが分かると思います。また、Fuga i
を型として使うことも確認できます。
具体例
まずclass
宣言を見てみます:
class Storable (ImagePixel i) => MaskedImage i where
type ImagePixel i
この宣言から分かることは、
- 型クラス
MaskedImage
を定義している
i
はMaskedImage
のインスタンスを表す型変数
ImagePixel i
はStorable
のインスタンスでなければならない
ImagePixel i
はinstance宣言で定義される型シノニム
- kindは省略されている
- デフォルト型は定義されていない
といったところでしょうか。
次にinstance
宣言を見てみます:
instance Storable p => MaskedImage (Manifest p) where
type ImagePixel (Manifest p) = p
このinstance
宣言から分かることは、
Manifest p
はMaskedImage
のインスタンス(たまたまインスタンスにも型変数p
が含まれています)
ImagePixel (Manifest p)
はp
の型シノニム
p
はStorable
のインスタンスでなければならない
型チェックが通ればこのinstance
宣言はvalidと言えます。
ただ、Storable p
についてもう少し説明が要るかもしれません。
確認
以下、このinstance
定義がvalidであることを簡単に確認します。
Manifest p
をMaskedImage
のインスタンスにするため、
class
をinstance
に書き換え
i
をManifest p
に機械的に置き換え
によって、以下が得られます:
instance Storable (ImagePixel (Manifest p)) => MaskedImage (Manifest p) where
type ImagePixel (Manifest p)
ここで開発者はImagePixel (Manifest p)
はp
の型シノニムであると定義したのでした:
instance Storable (ImagePixel (Manifest p)) => MaskedImage (Manifest p) where
type ImagePixel (Manifest p) = p
この型シノニムの定義通り、ImagePixel (Manifest p)
はp
に置き換えられるため、以下が得られます:
instance Storable p => MaskedImage (Manifest p) where
type ImagePixel (Manifest p) = p