MSBuildが実際にcl.exe
を起動するのはCL
タスクです。ここで指定されたパラメーターからコマンドラインオプションを生成しています。ですので、MSBuildの世界で知れる情報は、CL
タスクに渡されるパラメーターが限界となります。
CL
タスクが起動されるのは、環境によって細かいパスは変わりますが、C:\Program Files\Microsoft Visual Studio\2022\Professional\Msbuild\Microsoft\VC\v170\Microsoft.CppCommon.targets
で
こんな感じで、ほとんどのパラメーターはClCompile
ターゲットが実行された時点でのClCompile
項目にパラメーターと同名の属性として格納されています。
その上で、ClCompile
ターゲットが呼び出されるのはC:\Program Files\Microsoft Visual Studio\2022\Professional\Msbuild\Microsoft\VC\v170\Microsoft.CppBuild.targets
の
こんな感じで、BeforeClCompileTargets
、BeforeClCompile
やAfterClCompileTargets
、AfterClCompile
辺りになら概ねコンパイルに必要な情報がそろっているのではないでしょうか。
ビルド前イベントで自前でmsbuildを実行して、そこでcl.exeへ渡されるコマンドラインを抽出しています。
コンパイルが通らない状態でコード分析しても仕方がないので、ビルド後の方が適切に思います。Visual C++自身にもコード分析機能はありますが、ビルド後に走るようになっています。また、この機能はcl.exe
に内蔵されているため、MSBuild的にはCL
タスク内で完結してしまいます。
その他、cl.exeへ渡される情報を拾う方法以外により良い方法があれば教えていただきたいです。
上述の通り、MSBuildではcl.exe
に渡される引数は直接は確認できません。ここでCL
タスクはTrackedVCToolTask
基底タスクの派生クラスとなっていて、実際にはcl.exe
が起動されるのではなく、tracker.exe
が起動され、tracker.exe
がcl.exe
を起動しています。この際、tracker.exe
はcl.exe
のパスやコマンドライン引数を受け取っています。ですので、ここでtracker.exe
ではなく自前ツールに書き換えてやれば、cl.exe
が受け取るコマンドライン引数を知ることができます。(影響が出ないよう、自前ツールが改めてtracker.exe
を起動するといいでしょう。)