前提からおさらいすると、
・マルチキャストは、特定の「アドレス」を指定して通信すること。
・ブロードキャストは、特定の「ネットワーク」を指定して通信すること。
です。
特定のアドレスを指定して通信する都合上、マルチキャストは同一セグメント内の「全て」を
対象としているわけではありません。
例えていうならば、ブロードキャストは〇〇町全域に聞こえる防災放送。
マルチキャストは、〇〇町△△会の会員のみに伝えられる回覧板や会員放送といった感じです。
それを踏まえて、疑問にお答えすると
■疑問1
(IGMP snoopingを使わない場合)
「IGMP Snoopingを使わない場合」という前提は、やや不完全かと思います。
「マルチキャストグループのメンバーが適切に定義されていない場合」というのが正しいでしょう。
マルチキャストグループのメンバーが適切に定義されていない場合、どのポートがメンバーかを正確に判断出来ない為、全ポートに配信されます。
定義が適切にされている場合は、マルチキャストグループに属するポートのみに配信されます。
※IGMP Snoopingは、スイッチ側が自動的にマルチキャストグループの加入/離脱を判断し、適切な転送を行う為の機能ですが、この機能を用いずに手動でメンバー定義を行うことも可能です。
ブロードキャストは、同一ネットワーク内への一斉配信が前提にありますので、全ポートに配信されます。
■疑問2
調べる中で、”フラッディング”という言葉がでてきたのですが、フラッディングはMACアドレスが解決できなかった場合に、全ポートに投げるという意味と理解しました。
スイッチ自身のMACアドレステーブルに記載されていないフレームについては、受け取った誰かがしっかり処理してくれることを期待して全ポートに配信される為、フラッディングが発生します。
ブロードキャストの場合、意図的な全ポート配信なので、フラッディングとは言わない?
ブロードキャストは一斉配信するのが正しい動作の為、フラッディングではありません。
この場合の全ポート転送は「ブロードキャスティング」と言います。
同様に、マルチキャストの場合は、フラッディングといってよい?
マルチキャストまたはユニキャストの場合、先に述べたように適切な定義がされていない場合、全ポートに転送するしかない為、「フラッディング」となります。