動的に形が変わる JSON
JSON 中の特定のキーの値などに対応してそれ以外のキーの形が変わるという決まりをもった JSON を考えます。たとえば次のようなものです:
Externally Tagged
[
{"RGB": {"R": 98, "G": 218, "B": 255}},
{"YCbCr": {"Y": 255, "Cb": 0, "Cr": -10}}
]
Internally Tagged
[
{"Space": "RGB", "R": 98, "G": 218, "B": 255},
{"Space": "YCbCr", "Y": 255, "Cb": 0, "Cr": -10}
]
Adjacently Tagged
[
{"Space": "RGB", "Point": {"R": 98, "G": 218, "B": 255}},
{"Space": "YCbCr", "Point": {"Y": 255, "Cb": 0, "Cr": -10}}
]
※ "○○ Tagged" という言い方は Rust の serde のドキュメントから借用しました。
このように、特定の値に依存して型が変わるような JSON を Go で unmarshal したい、というのがこの質問の本題です。
json.RawMessage
このような JSON を unmarshal するための仕組みのひとつとして、encoding/json には json.RawMessage
という型があります。これは unmarshal する前の生の文字列を保持することで unmarshal を遅延させ、使うときになって必要に応じて unmarshal させる、という使われ方が想定されているものです。
Adjacently tagged な場合の具体的なソースコードがドキュメントに書かれています。タグと RawMessage の組として一度 unmarshal し、その後タグで switch して RawMessage を unmarshal するというものです。
Internally tagged の場合も、たとえば一度タグだけ unmarshal し、その値で switch して再度全体を unmarshal するという流れで書けます。サンプルコードはこんな感じです。全体を 2 回 unmarshal しているのが微妙ではあります。
このように json.RawMessage
を使った場合のつらいところが、RawMessage としてデータを取り回していると使うたびに unmarshal する必要があるところです。可能であれば、一度 unmarshal すれば後は unmarshal せずデータが使い回せるように書きたいです。
map
スタック・オーバーフローの既存の質問では、map として unmarshal するものも見当たりました。
しかし map として受け取ってしまうと、折角の型システムの恩恵を受けられません:
- 不正な値があったとしても unmarshal 時に弾くことができません。たとえば
map[string]interface{}
として unmarshal すると、string が想定されているキーに int が書かれていたとしてもエラーになりません。map[string]string
として unmarshal すると、int や struct など string 以外が想定されているキーがあると対応できません。 - また、JSON の形を型によって一箇所にまとめて管理するのも難しくなります。
同じ理由で、interface{}
として unmarshal し、使うときに型アサーションするのもやや微妙です。
ゆるふわに unmarshal したいときは逆に map や interface{}
は便利でしょうが、今回はしっかり見てあげたいです。なおこの方向性だと型アサーション相当のことを良い感じに裏でやってくれる dproxy や jsonpointer というライブラリが知られており、これはこれで便利そうです。
質問
タグに依存して動的に形が変わるような JSON を、上手く unmarshal する方法はあるでしょうか?
使うたびに unmarshal するのではなく、一度 unmarshal すればその後 unmarshal しなくてよい方法が良いです。また可能な限り型の恩恵を受けたく、かつ最初の unmarshal 時にエラーが分かると嬉しいです。
環境: Go 1.14