c++ は実行時の性能を最重要視する言語なので、コンパイル時に処理できるものは可能な限りコンパイル時にやっておしまい!という風潮があります。 constexpr
は既にお書きのとおり、コンパイル時にできることはコンパイル時にやれという、プログラマからコンパイラへの指示です。
質問本文に挙げてある例は簡単すぎて違いが判らないので別の例を挙げながら説明を試みます。
const
の意味
c++ の const
は決して定数ではありません。変更禁止という意味です。オイラ個人が誰かに教えるときは readonly
と読み替えろと言っています。
extern int getvalue();
void func() {
const int n=getvalue(); // good
++n; // error
}
この例で n
は、コンパイル時点では値が不明です。 const
はコンパイル時定数ではないのでこの初期化は受け付けられます。いったん初期化したのちは変更禁止なのでインクリメントはコンパイル時エラーとなります。
constexpr
の意味
コンパイル時に結果の値まで評価できる式や関数には constexpr
をつけることができます。その評価結果はコンパイル時定数として扱われます。評価できない場合はコンパイルエラーになります。式のほうはほぼ自明なんですが、関数に constexpr
をつけてよい状況はかなり限定されます。詳細はここでは略。
constexpr int getvalue1() { return 3; }
int array1[getvalue1()];
この例では、コンパイル時に constexpr
が評価できる結果 int array1[3];
となり大域変数が正しく定義できます。
const int getvalue2() { return 3; }
int array2[getvalue2()];
const
にした場合、コンパイル時評価をしない・しなくてよいという指示にしか読まないという言語仕様なので、こちらはコンパイル時エラーとなります。
template<int n> constexpr int sumto() { return n+sumto<n-1>(); }
template<> constexpr int sumto<0>() { return 0; }
int array3[sumto<10>()];
こういう難しそうな関数でもコンパイル時定数=リテラル、に評価できます。 array3
の要素数がいくつになるのかは机上で検討してみてください。
#define NUMBER 5 と定義するとconstexprに変えたらどうですか?
大前提としてプリプロセッサは大域字句的置換だと思い出してください。この例だとプリプロセッサは NUMBER
という字句が現れると無造作に 5
に置換してしまいます。
#define NUMBER 5
struct foo {
int VALUE;
int NUMBER;
int COUNT;
};
なんてものを作ると int 5;
に置換されコンパイルエラーになってしまいます。
struct bar {
static constexpr int NUMBER=5;
};
だと、こちらはスコープ規則に従うので bar
の外では何の影響も及ぼさず安全です。
そういう意味で現代 c / c++ ではプリプロセッサを使うことは非推奨です。プリプロセッサでないと実現できない機能(端的には条件コンパイルっすね)以外はプリプロセッサを使わないように心がけたいです。