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こんにちは。

次のところで紹介されている、
Array.find についてなのですが

Array.prototype.find() - JavaScript | MDN
https://developer.mozilla.org/ja/docs/Web/JavaScript/Reference/Global_Objects/Array/find

ほとんどのところはわかるのですが

var list = Object(this);
var length = list.length >>> 0;

このように書かれたところがわかりません。
thisは、配列がくると思うのですが、
それをObjectにキャストして、length をビット演算で求める...??
これは何をしているのでしょうか?

Arraylikeオブジェクトに対してArray.find.call するための仕組み?
うーん、それにしてもビット演算する理由がさっぱりです。

JSの高いレベルをお持ちの方、教えてください。
あるいは参考ページなど示していただければ助かります。

よろしくおねがいします。

2 件の回答 2

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ページの英語版にあるコードにはちゃんとコメントが書いてあるのですが、結論からいうと言語仕様に(なるべく)マッチした実装をする(ひとつの)書き方としてこのようにしています。

函数Array.prototype.findは言語仕様で次のように定義されています:

22.1.3.8 Array.prototype.find(predicate [, thisArg ])

When the find method is called, the following steps are taken:

  1. Let O be ? ToObject(this value).
  2. Let len be ? ToLength(? Get(O, "length")).
    ...(略)

質問にあるコードの第一行目は言語仕様でいう1.の手続きを実装するものです。抽象演算ToObjectはオブジェクトを規則(Table 12)に従ってObject型のオブジェクトに変換します。この処理はObject型にするというより、nullやundefinedで”Throw a TypeError exception.”するためのチェック処理だと考えていいでしょう。ただし、これは内部的な関数なので「ふつうの」JSでは呼び出せません。これに適合する互換コードとして、

// 1. Let O be ? ToObject(this value).
if (this == null) {
  throw new TypeError('"this" is null or not defined');
}
var o = Object(this);

なるコードを用いています(より明示的に書けばif (typeof this === 'undefined' || this === null) {ですね)。

言語仕様における2.の手続きは、1.で得たオブジェクトのlengthプロパティを抽象演算ToLength演算で数値化しています。

7.1.15 ToLength(argument)

  1. Let len be ? ToInteger(argument).
  2. If len ≤ +0, return +0.
  3. Return min(len, 253-1).

ここではさらに抽象演算ToInteger,minなどを呼び出していますが、要約すると「配列の要素数」として扱うために非負整数の値に変換するものです。他方、演算子>>>; Unsigned Right Shift Operatorは、

The result is an unsigned 32-bit integer.

とあるように、数値を符号なし32bit整数に”変換”します。これは厳密には等価ではないですが[*1]、bitwiseな処理なのでたぶん最適化されていて高速なことが期待でき(これは言語仕様とは関係ありません)、様々な箇所で数値の整数化として頻繁に用いられるものです。この演算子を用いて抽象演算ToLengthを代替しているのが次のコードです:

// 2. Let len be ? ToLength(? Get(O, "length")).
var len = o.length >>> 0;

このように、言語仕様と比較して実装がどうであるかというのは、動作を保証する意味において重要です。たとえば、lengthプロパティが負であっても浮動小数点数であってもあるいはNumber型でなくても[*2]その値でfor (let i = 0; i < obj.length; i++) {とするコードを書いたとして、通常の利用ではたいして問題になりません。しかし、「これ」を「Array.prototype.find」にpolyfillとして代入するのは避けるべきであるというのが、Javascriptプログラマの一般的な慣習かと思われます。


[*1]: console.assert(Math.pow(2,30) >>> 0 === Math.pow(2,30));ですがconsole.assert(Math.pow(2,50) >>> 0 !== Math.pow(2,50));です。
ただし、array indexが+0 ≤ i < 232-1と規定されていることから、配列の長さを扱うだけであれば問題はありません。

[*2]: 一般的にはArray型オブジェクトのlengthプロパティに負の値は許容されませんが、Array.prototypeの函数は意図してArray型以外にも使えるよう一般化されて実装されていることが知られています。

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  • ありがとうございます。 もちょっと優しい日本語でお願いしたい所なのです。 null or undefined はよくわかります。 >あるオブジェクトのObject型表現を規則(Table 12)に従って変換します というのが意味がわからないのですが、 Arrayだけに限らずに使用されるときに、Object型にキャストすると何かよいことがあるのでしょうか? また、lengthが負の値になるなんてことが、あるものなのでしょうか? (プロパティを上書き?) 配列のlengthを上書きされているような場合にも動作するように組まれてたとしても、負の値の場合にエラーにする、という実装にならないのはなぜでしょうか?(言語仕様かな?) >「これ」を「Array.prototype.find」にpolyfillとして代入するのは避けるべきであるというのが、Javascriptプログラマの一般的な慣習 これについてはわかります。気をつけるべきですよね。 JSは中々濃いです。
    – s.yamamoto
    2018年2月16日 4:52
  • 日本語がおかしいですね、修正します。/ToObjectは他の函数の定義でも先頭によく使われていますが、C言語でいえばポインタのNULLチェックのようなものと考えていいかとおもいます。/Array型オブジェクトに関しては言語仕様ではExotic Objectという分類になっていて、具体的にはlengthプロパティが特殊仕様です。ArraySetLengthなどより、Arrayのlengthはふつう、負にはできません。より一般に負の値のlengthで特にthrowなどせずに、長さ0として扱うのはそれこそ「仕様です」。
    – user15182
    2018年2月16日 5:14
  • なるほど、言語仕様的にToObjectすることになっていて、それはnull or undefined チェックとObject化することになるわけですね。 で、ToLengthという仕様も、負を正にしてしまうからだ、ということですね。 かなりよくわかりました。Polifilは難しいですが勉強になります。 いろいろコードを動かしながら調べていたら Array.prototype.find.call(文字列, という記述なども可能みたいです。 丁寧に答えていただき、ありがとうございます。とても勉強になります。
    – s.yamamoto
    2018年2月16日 6:36
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おそらくですが、0埋め右シフト演算子で0ビットシフトしている処理は length をループ終端として使うため、符号なし整数であることを保証したいのだと思います。

※参照先のコードでその処理が必要であるかはわかりません。

>> console.log(1 << 31)
-2147483648 debugger eval code:1:1
undefined
>> console.log((1 << 31) >> 0)
-2147483648 debugger eval code:1:1
undefined
>> console.log((1 << 31) >>> 0)
2147483648
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  • 負の数を正の数にするのですね。ありがとうございます。
    – s.yamamoto
    2018年2月16日 4:55

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