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TypeScriptが以下の挙動をする理由を教えてください。
TypeScriptのバージョンは2.2.1、Visual Studio Codeを使用しています。

var hoge:boolean = true;
var fuga = hoge==false ? 123 : 456;  

このコードだとhoge==falseの部分がエラー

error TS2365: Operator '==' cannot be applied to types 'true' and
'false'.

になりますが、

var hoge:boolean;
hoge = true;
var fuga = hoge==false ? 123 : 456;  

このコードのように変数の宣言と代入を別のところで行うとhoge==falseの部分がエラーに
なりません。
この違いはどうして起こるのでしょうか?

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  • 2.5.2 では両方ちゃんとエラーになるようです。
    – mjy
    2017年9月8日 2:20
  • これはエラーにならないのがバグということですか。
    – noriokaki
    2017年9月8日 3:37
  • 私の環境では tsc 2.2.1 でコンパイルしても2つ目のコードが上述のエラーになりました。色々試してみたところ、1.8.10 ではエラーが出ず、2.0.3 ではエラーが出ました。環境は Ubuntu 16.04, bash, npm 5.3.0 で、tsc は npm install -g typescript@<version> でインストールし、コンパイルは tsc file.ts の形で行っています。VS Code 特有の問題があるのかもしれませんが、一度 TypeScript のバージョンをご確認願えませんか?
    – nekketsuuu
    2017年9月11日 12:25
  • 補足すると Contorol-flow based type analysis が導入されたのが TS 2.0 からなので、TS 1 と TS 2 で差が出るのなら分かりやすいなあと思っています。 参考: github.com/Microsoft/TypeScript/wiki/…
    – nekketsuuu
    2017年9月11日 12:40

2 件の回答 2

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投稿の内容に誤りと思われる箇所がありましたので訂正します。また、mjyさんによる回答を推薦します。以下参考までにご覧いただければ幸いです。


basarat/typescript-bookTypeScript's Type System > Literal Typesが参考になるかと思われます。

TypeScriptにおけるLiteral Typesとは、雑に言えば「リテラルとして存在する値固有の型」のようなものです。たとえば、trueというリテラルliteral true型の値trueです。あるいは、falseというリテラルliteral false型の値falseです。

true === (true as true);
false === (false as false);

literal true/false型は明らかにprimitive Booleanの派生型ですが、両者の比較に際してはそれぞれがtrueまたはfalseしかとらない固有の型であるために、異なる型を比較したような状態となり型エラーとなります。

このような比較の例として、特にBoolean,Number,String型のリテラルどうしの比較は(意味があるかはともかくとして)同様の理由によりTypeScriptでは許容されません。

true === false;  // (true as true) === (false as false);
1 === 2;         // (1 as 1) === (2 as 2);
'foo' === 'bar'; // ('foo' as foo) === ('bar' as bar);
// incompatible types

では質問のコードですが、

hoge==false ? ...

において、比較演算子==の両辺の値がどのような型として扱われるかが問題です。
右辺falseは先述のとおりリテラル固有のliteral false型として解釈されます。
一方左辺hogeは定義式に基づくとprimitive Boolean型です。もしこのとおりに解釈されたのであれば、派生型であるliteral false型との比較は可能であり、エラーはでません。

// もしhogeがboolean型であるとされた場合
hoge==false
(hoge as boolean) == ((false as false) as boolean)
//       派生型のためキャスト(比較)可  ^^^^^^^^^

一方で、質問のいずれのコードについても、処理を追えば比較部分に到達する時点で変数hogeの値は100%の確率で、つまり静的にtrueであることがわかります。これを考慮すればhogeの型も静的に決定可能であり、具体的にはliteral true型です。TypeScriptの型システムにおいてこうした解釈がなされるとすれば、言及されているような型エラーが出ることは理解されます。

var hoge:boolean;
hoge = true;
// ここに到達する時点で変数hogeがliteral true型であることは
// 静的に(コードを実行しなくても)解析可能であるので、
// boolean型と定義されているものの(より厳密に)literal true型として扱われる
hoge==false ? ...
// (hoge as true) === (false as false)
//       ^^^^^^^ 比較不能

こうした型を決定する静的解析システムは、TypeScriptにおいてはCFAとよばれています。

反対の例を挙げれば理解が深まるかもしれません。たとえばCFAが「実質的に」primitive Boolean型であるとみなしliteral true/false型として扱わないケースは次のコードです:

let hoge: boolean;
// 次のコードは結果を静的に解析できない
// => 「実質的に」boolean型として扱われる
hoge = (Math.random() > 0.5);
// 変数hogeはboolean型として解釈され、エラーは出ない
hoge === false ? ...

こうした取り組み、すなわち「より厳密に」「より実質的に」型をチェックすることで、native jsでは膨大な検証コードを関数の冒頭に必要としたような状況をTypeScriptは解消しています。

上に上げたようなふるまいの是非など、この手の話題はissueを覗くとよく議論されている(はず)ですので、興味があればご確認ください。


この存在価値がいまいちなliteral typesですが、よりプリミティブな実装の例としてはtypeof operatorの返り値の型がそうです。次のコードはこの質問のエラーとまったく同様のエラーになります:

typeof hoge === 'nantokakanntoka'
// Operator '===' cannot be applied to types '"string" | "number" | "boolean" | "symbol" | "undefined" | "object" | "function"' and '"nantokakanntoka"'.

これは、typeofの返り値が内部でliteral "string" | "number" | "boolean" | "symbol" | "undefined" | "object" | "function"型と定義されているからです。便宜上typeofを関数のように書けば、次のような疑似コードで定義されているものと考えてください。

function typeof(obj: any): "string" | "number" | "boolean" | "symbol" | "undefined" | "object" | "function" {
    // ...
}

この定義のありがたさとしては、native jsがtypeofの返り値をprimitive String型としているためにまったく不正な型名nantokakanntokaとの比較を許容してしまうことに対して、typescriptではliteral typesを用いてenumのような型付けを簡単に実装できてしまい、かつ型名をいちいち名前をつけて定義していないところです。
このようにliteral typesは「もうちょっとその型のなかでも値を制限したいけど型名をつくるのは大げさだしreturn typeに書きたいし、」みたいなところで活躍するものと(主観では)思います。

以上、個人の理解に基づく内容ですので、誤り等あればご指摘ください。

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  • 最初の、「var true_value = true; は、実際のところliteral true型の変数true_valueを定義しています。」というのは誤りではないでしょうか。 true_value = false が可能な事で確かめられますが、true_value はやはり boolean 型だと思われます。 よって、その後の暗黙の型変換による説明も有効ではないかも知れません(あまり自信は無いです)。
    – mjy
    2017年9月9日 5:25
  • @mjy 正直説明に無理があるとおもいました(笑)、たしかにCFAが不完全であると説明されたほうが説得力もありますし、たぶんそうなのだと思います。そのように訂正させていただきます。
    – user15182
    2017年9月9日 10:33
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このコードのように変数の宣言と代入を別のところで行うとhoge==falseの部分がエラーに
なりません。

これは、2.2.1 の "Control flow based type analysis" が不十分だからだと思います。
2.5.2 においてはエラーになります。
この点を以下で説明します。
(literal) true 型 などについてはrio.irikami さんの回答を参照下さい。

boolean 型は Union 型 (true | false) と等しい

これはドキュメントに記述を見つけられませんでしたが、実際の挙動や意味から考えて、boolean は Union 型なのだろうと思います。

Union 型の変数には "Control flow based type analysis" が行なわれる

"Control flow based type analysis" というのは、型ガードだけでなく代入なども解析し、Union 型変数の可能性を狭めようという試みです。
つまり、boolean 型として宣言された変数も、この解析の結果、場所によっては true 型や false 型と見なされる事がある、という事です。

// 2.5.2 での動き
function get_bool() :boolean {
    return (new Date().getSeconds()) >= 30
}
let bool = get_bool()  // bool は boolean 型
let true_or_42 :(true | 42)

true_or_42 = bool   // エラー
// ここでは bool は true かも知れず、false かも知れないので宣言時の boolean のまま
// false の可能性があるので (true | 42) には代入できない
// => error TS2322: Type 'boolean' is not assignable to type 'true | 42'.

bool = true
true_or_42 = bool   // OK
// ここでは bool は true でしかありえないので、true 型 になる
// よって、(true | 42) に代入可能

比較演算と "Control flow based type analysis" の関係

比較演算子の両辺の型は代入互換性(少なくともどちらかの型が、もう片方の型に代入可能であること)が求められます。
参照: "The <, >, <=, >=, ==, !=, ===, and !== operators"

true == true        // OK
// true 型と true 型なので相互に代入可能で比較可能

get_bool() == true  // OK
// true 型に boolean 型 を代入することはできないが、
// 逆(boolean 型に true 型を代入する事)は可能なため比較可能

false == true       // エラー
// false 型の変数に true 型の値は代入できず、逆も同じなので、この比較は許可されない
// => error TS2365: Operator '==' cannot be applied to types 'false' and 'true'.

ですので、質問のコードで hoge==false が行なわれる際に hoge 変数がどういった型として見なされているかが重要です。

var hoge:boolean = true;

の後であれば true が代入済みであるので、"Control flow based type analysis" により、hogetrue 型と見なされ、false との比較でエラーになるわけです。

問題の、

var hoge:boolean;
hoge = true;

ですが、2.2.1 では2行目で代入される値が true にしか成りえない事を解析できないのだと思われます。
そうすると、hoge の型を狭められないため、この代入後も宣言に従い boolean 型と見なされます。
boolean 型には false 型を代入できますから、比較可能になり hoge==false がエラーになりません。

2.5.2 では "Control flow based type analysis" がよりよく働き、hogetrue にしかなりようがない事を解析し、代入以降 true 型 と見なされるようになり、 hoge==false がエラーになります。

バグか

これはエラーにならないのがバグということですか。

バグと言うべきかは解りませんが、過去のバージョンでは "Control flow based type analysis" の能力が低く、エラーを検出できなかったという事だと思います。

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