(既に正しいと私が考える回答は出ていますが、別の説明を試みてみます)
一般的なクラス設計の話として、Effective Java 第3版 第3章 項目10 "equals
をオーバーライドするときは一般契約に従う" に次のように書かれています:
equals
メソッドをオーバーライドするのは簡単なように思えますが、間違ったやり方でオーバーライドしてしまう方法はたくさんあり、その結果は悲惨なものになります。問題を避ける最も簡単な方法は、equals
メソッドをオーバーライドしないことです。
(中略)
では、いつ equals
をオーバーライドするのが適切でしょうか。それは、クラスが単なるオブジェクトの同一性とは異なる論理的等価性(logical equality)という概念を持っていて、かつスーパークラスがequals
をオーバーライドしていないときです。
JPAエンティティクラスはどうかというと、論理的等価性はあります(簡単にいうと@Id
フィールドの値が同じであれば論理的に等価です(※十分条件であって必要条件ではない))。
ただし、JPAフレームワークは、論理的に等価であればデフォルト実装のequals
もtrue
になるよう(可能な限り)取り計らってくれますので、デフォルト実装で大抵の場合うまく動きます。
質問文に書かれているリンクより新しく具体的な説明がHibernateのユーザガイドにあります。
Generally, this is pertinent for user-defined classes used as composite identifiers. Beyond this one very specific use case and few others we will discuss below, you may want to consider not implementing equals/hashCode altogether.
質問文に対するそれぞれの回答としては:
JPAのエンティティクラスに、equalsメソッドやhashCodeメソッドは明示的に実装する必要がありますか?
通常は不要です。(原理主義的には実装するのが正しいですが、それより誤った実装を行ってしまうリスクを懸念すべきです。)
またその場合、主キーのみに基いて比較判定する処理であれば良いですか?
(これはequals
のオーバーライドが難しいことの1つの具体例ですが)
一般的にはこの考えは誤っています。
例えば @Id
を @GeneratedValue
で決定するJPAエンティティクラスは、永続化するまで主キーがありません。
それとも、@Idアノテーションがついているだけで良いですか?
(JPAの内部で@Id付きフィールドを探して比較してくれる?)
通常はその考えで良いです。
(同一Persistence Contextでは)同一@Id
は同一インスタンスとなるよう取り計らってくれるので、@Id
が同じなら ==
がtrue
であり、すなわちequals
がtrue
になります。