どういったメリット、デメリットがあって
view.frame.width = 300.0
という書き方ができないように、CGRectのプロパティがreadonlyにしてあるのか
の部分ですが、メリット・デメリットというよりはSwiftからFoundationのデータ型をimportする部分を設計した人のデザインセンスの問題ということになりそうです。
CGRectはObjective-C側で次のように宣言されています。
struct CGRect {
CGPoint origin;
CGSize size;
};
typedef struct CGRect CGRect;
ご覧のようにCGRectにはwidthというプロパティ(Objective-Cのstructならメンバーというべきでしょうか)はありません。
Objective-Cでは、structにプロパティやメソッドを追加することはできませんでしたから、CGRectのwidthにアクセスする場合には、素直にメンバー階層をたどるか、
CGRect rect = CGRectZero;
CGFloat width = rect.size.width;
あるいはアクセス関数を用いるしかありませんでした。
CGFloat width = CGRectGetWidth(rect);
これらのアクセス関数にはいろいろあります(CGGetMinX()やらCGRectIsNull()やら...)が、Swiftでそれらのimport部分の設計を担当した人は、それらのアクセス関数をextension内でプロパティとしてもアクセスできるようにしてしまったようです。
(Cmd-Clickで表示されるヘッダにおけるCGRectのextension部分)
extension CGRect {
//...
public var width: CGFloat { get }
//...
public var minX: CGFloat { get }
//...
public var isNull: Bool { get }
//...
}
実際オープンソース化されたSwiftのソースを見るとそれらのプロパティは次のような感じで定義されています。
var width: CGFloat {
@_transparent // @fragile
get { return CGRectGetWidth(self) }
}
//...
var minX: CGFloat {
@_transparent // @fragile
get { return CGRectGetMinX(self) }
}
(@_transparent
とかはライブラリの作者が内部的に使うものなので無視してください。)
したがって、「CGRectのwidthプロパティは、あくまでもCGRectGetWidth()を呼ぶためのショートカットである」と言うふうに理解すべきなのでしょう。(CGRectSetWidth()なんて関数はなかったので、setterは存在しない。)
ただ、widthやheightなど、矛盾なくsetterを定義できるものについて、あえてそうはしなかったのは、「設計者のデザインセンス」としか言えないように思います。