Swiftでは、コンストラクタ(Constructor)と呼ばずに、イニシアライザ(Initializer)と呼びます。
The Swift Programming Language (Swift 2.1)
Apple自身によるSwiftの解説文書では、いちどもConstructorという単語は出てきません。
UIView
のサブクラスの実装のしかたですが、(1) プロパティの宣言、(2) イニシアライザの実装のふたつに分けて説明したいと思います。たがいに密接に関係していることですが、分けてみていったほうが、理解しやすくなるだろうと思います。
プロパティの宣言
クラスのプロパティは、その型の種類と、初期値の有無で、つぎのように分類できます。
(1) Optional型で宣言する。
ごぞんじのように、nil
である可能性のある変数を、Optional型の変数といい、var image: UIImage?
というように、型名に?
を付して、Optional型であることを示します。宣言時、暗黙的にnil
が代入されるので、var image: UIImage? = nil
と同等です。Optional型のプロパティは、未設定という状態を示す必要があるケースで使われます。たとえば、UIImageView
のプロパティimage
がOptional型ですが、イメージのない空白のUIImageView
のインスタンスの状態が、じっさいに存在するので、Optional型となっています。
(2) Implicitly unwrapped optional型で宣言する。
これもご存じのように!
を型名に付して示します。例:@IBOutlet weak var imageView: UIImageView!
。この型の宣言は、特殊なケースを除いて推奨されません。そもそもImplicitly unwrapped optional型は、プログラマの責任において、まちがいなくnil
にならないことが保証されるケース以外で、使うべきでないからです。プロパティにおける特殊なケースで有名なのは、XIB書類、Storyboardのオブジェクトに紐付けされたプロパティですが、XIB書類、Storyboardが、その存在を定義しているため(存在が保証されるため)だと考えられます。
(3) 非Optional型で、初期値を与える。
プロパティでなく、一般の変数の宣言においても、非Optional型の変数は、宣言時に初期値を与える必要があります。それとおなじです。例:var x: Float = 0.0
。Optional型のプロパティ以外は、できるだけこの形で宣言すべきと、わたしは考えます。
(4) 非Optional型で、初期値を与えない宣言。
指定イニシアライザで、プロパティに値が代入されるケースに限って、非Optional型のプロパティでも、初期値をなしにできます。ご提示のコードvar photo: Photo
がそれにあたりますが、イニシアライザの中で、Photo
インスタンスを生成して、代入していないため、
Property self.photo not initialized at super init call
というエラーが起きているのだと考えられます。
イニシアライザの実装
クラスのイニシアライザ(Initializer)は、指定イニシアライザ(Designated Initializer)と、簡易イニシアライザ(Convenience Initializer)に分けられます。クラスはかならず指定イニシアライザでインスタンスを生成します。簡易イニシアライザは、それ自身ではインスタンス生成はできず、その中で指定イニシアライザを呼ぶことで、インスタンス生成を可能にしています。簡易イニシアライザは、頭にconvenience
を付します。UIView
では、init(frame frame: CGRect)
が指定イニシアライザです。なお、XIB書類、Storyboardから生成するときは、init(coder aDecoder: NSCoder)
が呼ばれます。
イニシアライザの実行
イニシアライザは、ほかの一般的なメソッドと異なる面を持ちますが、実行するコードも特殊な書式になります。
let newView = UIView.init(frame: newRect)
このような書式ではなく、
let newView = UIView(frame: newRect)
このように、クラス名に直接かっこをつないだものになります。
以上から、ご提示のクラスGraphic
の定義コードの、ひとつの改善案はこうなります。
class Graphic: UIView {
var context: CGContextRef? // Appleのプライベート識別子とバッティングする危険があるので、語頭にアンダーバーを付けない。
var w: Float = 0.0
var h: Float = 0.0
var photo: Photo
override init(frame frame: CGRect) {
super.init(frame: frame)
w = Float(self.frame.width)
h = Float(self.frame.height)
photo = Photo(CGFloat(w), h: CGFloat(h))
}
convenience init() {
self.init(frame: CGRectZero)
}
required init(coder aDecoder: NSCoder) {
super.init(coder: aDecoder)
w = Float(self.frame.width)
h = Float(self.frame.height)
photo = Photo(CGFloat(w), h: CGFloat(h))
}
}
これはあくまでひとつのアイデアです。各プロパティの役割を知らない状態で、推測に基づいて考えたものであって、それ以上のものではありません。
}
を補って)Xcode7.2.1のPlaygroundで試すと、ご記載のエラーが再現できません。エラーが発生した時のコードをそのまま掲示していただけるでしょうか。「fatalErrorになってしまいます」と言うのも何を表したいのかがよくわかりません。あなたの経験した「fatalError」について、もう少し詳しく記述してください。なお、UIViewに限らず、Swiftでのコンストラクタの記述についてはSwift本(TSPL:The Swift Programming Language)のInitialization中に詳しく記載されています。