SpringのコアはDIコンテナです。DI(依存性の注入)を導入する目的は、利便性など色々ありますが、最大の目的はコンポーネント間の結合度を下げることにあります。
対して検査例外は、プロシージャ内部で発生したエラーが、回復可能であることを呼び出し元に通知する仕組みです。
呼び出し元コンポーネントが例外をハンドリングするということは、子コンポーネントの実装の詳細を知る必要があるということです。これはDIの概念と真っ向から衝突します。
分かりやすい例がSQLException
です。
Springを使う場合、データベースから業務データをBean
で取得するケースも多いと思いますが、一般的なJavaでデータベースを扱う場合、SQLException
のハンドリングは避けられません。しかし、SQLException
が返却するエラーコードはDB製品固有のものであり、コンポーネントの密結合化に繋がります。
そこで、Springでは検査例外のSQLException
を、非検査例外のDataAccessException
に抽象化することで、コンポーネント内部で例外が閉じるような設計に矯正しています。
加えて、SpringではDIコンテナにAOP(アスペクト指向プログラミング)を連携させることで、例外処理を挿入したハンドラインスタンスに行わせることができます。
業務例外やシステム例外の処理を、それぞれのロジックに書くのではなく、振る舞いのみを抽出して横断的に処理をする、「関心の分離」というやつです。
この辺りの概念に通じてくると、自然と検査例外に対して、
- コンポーネント間で実装の詳細を共有する必要が生まれ、疎結合化を阻害する
- 検査例外は例外処理のボイラープレートコードを強制し冗長である
という思考が生まれて、「非検査例外を使用する」という方向に寄るんじゃないんでしょうか。