ユーザが定義した計算式(有理数の四則演算のみ)を解析し、BigDecimal
を使って計算するプログラムを作っています。
ここで、「計算結果は、小数点以下2桁までが、手計算での結果と一致することを保証する」という要求仕様があります。
正確には、「手計算で小数点以下第3位を四捨五入した値」との一致です。
BigDecimal
のdivide
メソッドは、scale
の指定がありますが、上記の結果を保証するためには、都度の除算において、scale
にどのような値を指定すれば良いのでしょうか?
あるいは、根本的に保証できないのでしょうか?
結論が出ないながらも、自分で考えたことを挙げておきます。
- 「小数点以下第3位を四捨五入」という操作が最後にあるので、結局は3桁目まで正しい状態を維持しなければならない
divide
に対してscale=3
を指定したとしても、1/3=0.333
を3000倍すると999になってしまう。小数点以下何桁の保証どころではない。(1/3)*3000
を3000*1/3
に組み替えるようなことをしないと、根本的に保証できない?- あるいは、「十分に大きな
scale
を指定しておく」という方針? - 例えば
scale=6
としたとき、1/3=0.333333
、これを3000倍で999.999
となる。小数点以下第3位を四捨五入すれば、1000
になる。 - 「十分に大きなscale」とは何か? 具体的な値を定義できるか?
【追記】
- 「このような計算式なら精度を保証できる」という制限付き仕様は実現可能か?
(a + b) / (x * y)
のように、「除算が高々1回」かつ「除算が最後に実行される形」であれば良い?
BigDecimal
で表現できる数での除算の真値はとんでもない桁数で循環する循環小数になりえます。例えば1億桁で循環する循環小数を含む複雑な計算の「手計算での結果」なんてものは定義不可能でしょう。定義不可能なものを「仕様」としてはいけません。また乗数として3000の場合を考えておられますが、BigDecimal
では、m×10^scale で数値が表現でき、mは任意精度の整数なわけですから、任意のBigDecimal
が乗数となりうる以上「十分に大きなscale」というものは存在しません。本当に「有理数の四則演算のみ」であれば、BigDecimal
の演算を使わず有理数演算に置き換えるという手もありますがかなり大変な作業になります。私的には「手計算での結果と一致する」などという曖昧な要求をきちんと現実的な仕様にする(様々なケースを考慮して実際の動作を定義する)ところから始めるべきだと思いますが。